研究課題
Leptolyngbya boryanaは、一様な細胞からなる糸状性シアノバクテリアであり、嫌気条件かつ窒素枯渇条件に応答して窒素固定を行う。本研究は、窒素固定遺伝子群の導入によって非窒素固定性シアノバクテリアに窒素固定能を付与しようとするモデル実験を通して、作物への窒素固定能付与という究極の目標に向かう基盤を整備することを目的とする。L. boryanaの20.8 kbのゲノム上の遺伝子断片(nif遺伝子クラスター)とその制御タンパク質をコードするcnfR遺伝子を、非窒素固定性シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803(S. 6803)のゲノム中立部位に導入した形質転換体CN1の窒素固定活性を検討している。CN1は、嫌気・窒素枯渇条件においてL. boryanaの約0.3%程度(細胞乾燥重量当たりのアセチレン還元活性で比較)のニトロゲナーゼ活性を示す。この活性をより向上させるために、昨年度より、1)活性酸素種消去に関わる遺伝子(カタラーゼ遺伝子katGとスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子sodB)の発現、2)酸素除去酵素をコードするflv1/2-flv3/4遺伝子の発現、3)cnfRの本来のプロモーターによるCnfR発現 についてCN1をプラットフォームとして進めてきたが、現時点ではCN1が示すニトロゲナーゼ活性を上回るような形質転換体は得られていない。一方、CnfRに対する抗血清を調製し、CN1における発現を確認した。好気/嫌気および窒素充分/窒素枯渇の組み合わせ4条件でのCN1細胞においておおむね同レベルでCnfRタンパク質の存在が検出された。一方、ニトロゲナーゼ活性は嫌気・窒素枯渇条件に限定されていた。この結果は、本来の宿主で想定されるCnfRによるnif遺伝子群の発現制御がS. 6803においても同様に作動していることを示唆している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Scientific Reports
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
in press