概日時計は、行動をはじめとする動物の各種生理機能に昼夜に調和した時間的秩序を作り出す内的な自律振動機構である。本研究では、不完全変態昆虫の一種であるコオロギを用いて、時計の発振機構を分子レベルで解析した。その結果、不完全変態昆虫の概日時計が従来知られていた時計遺伝子period/timeless振動系とcycle振動系に加えて、cry1/cry2振動系を含む複合振動体系を構成すること、またこれらの振動系は2つの調整因子、clockwork orangeとtimeless2により微調整されており、ハエに代表される完全変態昆虫の時計機構に比べ、より複雑であることなどが明らかとなった。
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