研究課題
性選択形質である雄のオレンジスポットに含まれるβカロテンが選好性を変化させる作用に注目し、その摂取量がDNAメチル化を介して雌の眼と脳 にもたらすエピジェネティックな影響を検出するための実験を継続した。高βカロテン条件、低βカロテン条件(βカロテンなし)で雌を飼育した。稚魚は産まれたその日から高βカロテン条件(エサ中のβカロテン0.6%)、低βカロテン条件(エサ中のβカロテンなし)の2条件に分け、性成熟するまで約7か月間飼育した。最終的に高βカロテン条件でメス31個体、オス21個体、低βカロテン条件でメス45個体、オス48個体を得た。DNAメチル化の検出にはメスのみを用いた。2つのカロテノイド条件で飼育したメスの右眼(高βカロテン条件:23個体、低βカロテン条件:25個体)と全脳(高βカロテン条件:24個体、低βカロテン条件:23個体)からDNAを抽出しバルク化し、バイサルファイト処理後、次世代シークエンサーで配列を解読した。また、メスのオレンジスポットへの選好性の強さを測定するため、十分に性成熟した月齢7ヶ月の処女メスで映像を用いた二者択一形式の配偶者選好性実験を行った。水槽の一側面に設置したモニタに、オレンジスポットの彩度と面積が大きな派手オスと彩度と面積が小さい地味オスの動画を横に並べて映し、メスの選好行動を観察した。メスは実験前24時間以上個別飼育をし、実験の30分前に餌を与えた。実験水槽に個別飼育の水ごと移動させ、5分間順応させた。その後、オスの動画をモニタに表示しメスが動き出してから5分間行動を観察した。映像の前3㎝以内を選好エリアとし、5分間でメスがそれぞれの映像の選好エリアにいた時間を測定した。
3: やや遅れている
メチル化解析をするため個体が成熟するまでに必要な時間が想定以上にかかったため、餌条件飼育実験に7ヶ月 を要し、若干予定が遅れた。
予定が3ヶ月遅れたが、その後は、順調に実験が実施できたてため、最終的には予定どおりデータがとれる見通しである。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Vision Research
巻: 127 ページ: 67-73
doi.org/10.1016/j.visres.2016.06.013