研究課題
本年度は初年度であるが、動的行動の理論を応用したゲーム理論のあり方を検討した。とくに、従来のタカハトゲームにおけるハト同士の均等配分が、動的ゲーム理論ではどうなるかを考察した論文の草稿を仕上げた。さらに、動的ゲームにおいて、タカハトゲームや囚人のジレンマゲームがどのように静的ゲーム理論と異なるかを検討した(原稿を準備中)。さらに、タカハトゲームが、現代のような協調的なシステムである人間社会で、利己(タカ)的な行動には罰則が強化されると協力行動が普遍的に促進されることを証明した(Ito and Yoshimura 2015.ネイチャー系オンライン姉妹誌であるScientific Reports掲載 )。また理論と実証の統合研究として、働かないアリのいるコロニーが長期的に存続することを実証データを基にシミュレーションにより立証した(Hasegawa et al. 2015.ネイチャー系オンライン姉妹誌であるScientific Reports掲載、吉村は雑誌のコレスポンディング著者担当 )。その他、ホストパラサイト系の多種動態や群集の存続性など合計13報(IF合計で40以上、上述Scientific Reports誌7報、サイエンス誌の新しいオンライン姉妹誌であるScience Advances誌1報を含む)の論文を発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
本課題の理論の中心的な目的である働かないアリのコロニー存続への貢献をネイチャー系オンライン姉妹誌Scientific Reports誌に掲載、さらに、ゲーム理論におけるタカハトゲームでの罰則が協調行動を促進することを立証した論文もScientific Reports誌に掲載したことは、大きな前進である。さらに、変動環境での長期適応の視点から、さまざまな応用・発展論文5報をScientific Reports誌に、1報をサイエンス誌の新しいオンライン姉妹誌Science Advancesに、その他専門誌を含めて、合計13報(IF合計で40以上)を掲載できたことは、数年分の業績といえるだろう。
本年度は、昨年度に進めた動的行動理論の効用関数をゲーム理論へ応用した場合の結果の論文の投稿を模索する。また、動的効用関数の経済行動(ポートフォリオなど)への応用の検討をはじめる。実証研究では、アリやシロアリなどの社会性昆虫での行動動態の最適化がコロニー存続へどのような貢献をするかを検討する。さらに、変動環境における存続システムとしての生物を考えて、動物の行動のダイナミクスや植物個体の生長・繁殖戦略がどのように最適化されるかを検討していく。分野を固定しないで、様々な分野で、様々なトピックに、動的最適化の適用を試みる。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 8件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 11件、 謝辞記載あり 12件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件) 備考 (1件)
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