研究課題
コミカンソウ属における送粉様式の進化について、2019年度はニューカレドニアで野外調査を行い、ハナホソガ、タマバエともに多くのサンプルを追加することができた。これまでの調査から、ニューカレドニアのコミカンソウ属にはハナホソガ媒のものとタマバエ媒のものがあることがわかっていたが、ハナホソガ、タマバエの両方と関係をもっているコミカンソウ属の種もかなりあることが分かった。ニューカレドニアでコミカンソウ属が適応放散する過程で、送粉様式の変化がどれほど頻繁に起こり、それが植物の多様化にどのような影響を与えたのかについて現在解析を進めている。また、前年度までに研究を進めていたキキョウ科、ユリ科、モクレン科などの植物においても新しい成果が得られた。ツルニンジン属、コバイモ属では花被の表面が盗蜜者であるアリに対して滑りやすくなっていることを示し、送粉に貢献しない昆虫を排除するための新しい機構の発見につながった。クロユリでは花が糖をほとんど含まない浸出液を大量に分泌しており、この浸出液が匂いを発し、送粉者のハエ類の誘引に関わっていることを明らかにし、花の浸出液のこれまでに知られていない役割を見出した。またモクレン科のタイワンオガタマではアザミウマが主な送粉者であることを見つけ、初期の被子植物の送粉におけるアザミウマの役割に新しい知見をもたらした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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American Journal of Botany
巻: 104 ページ: 164-170
10.1002/ajb2.1412
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https://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/common/research/kawakita-lab/Japanese/home.html