研究分担者 |
深井 英吾 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00570657)
柿崎 智博 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 主任研究員 (30547229)
藤本 龍 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (60620375)
板橋 悦子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 研究員 (70783273)
|
研究実績の概要 |
1)セイヨウナタネの春化特性を調査した。各系統とも低温処理がない場合には開花せず,春化要求性であることがわかった。Spring type系統は4週間の低温処理で開花した。Semi-winter typeは4週間低温処理では12系統中11系統が開花せず,8週間低温処理では1系統を除き全て開花した。Winter typeの多くの系統は8週間処理でも開花が見られなかった。2)6葉齢および14葉齢のキャベツ(MP22)を材料に, 春化処理前後の植物体の葉におけるRNA-seq解析を行った結果, ストレス応答や植物ホルモン応答, 花成, 遺伝子発現制御に関連する遺伝子群の発現が大きく変動することが示唆された。また, 低温処理前後でのBoFLC遺伝子のヒストン化学修飾(H3K27me3)が異なる2ステージ(4葉齢, 14葉齢)で調査した結果, いずれの葉齢においても, 修飾は低温下で一旦増加し室温下で再び減少していたことから, シロイヌナズナやハクサイとは異なる発現制御機構が働いている可能性が考えられた。3) ハクサイでは,4週間の低温処理により,SOC1,COR15B,HSFB2A,VIN3の発現誘導と,FLCやMAF1の発現抑制が見られた。低温により発現が誘導された遺伝子は低温処理後には通常温度に戻すと発現が見られなくなった。一方,FLCやMAF1は低温処理後に通常状態に戻しても発現が抑制されている状態が維持されていた。FLCやMAF1においては,低温処理後には,転写開始点にのみK27me3が見られ,低温処理後通常温度に戻すとK27me3が遺伝子全体に広がっていた。また,4つのFLCパラログのうち,BrFLC2にのみアンチセンスRNAが発現していることを見出し,これは,低温処理後7日に発現量が最大となり,その後は発現レベルが春化処理前の状態に戻ることが分かった。
|