研究課題/領域番号 |
15H04436
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山崎 将紀 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (00432550)
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研究分担者 |
梶 亮太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, グループ長 (40414809)
横上 晴郁 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (10355307)
前田 英郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, グループ長 (40442751)
出田 収 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, グループ長 (40414651)
片岡 知守 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 上級研究員 (20355308)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 育種学 / イネ / 農業形質 / ゲノムワイドアソシエーション解析(GWAS) / 重要遺伝子 / 適応遺伝子 |
研究実績の概要 |
現在の日本水稲品種群の育成に貢献した遺伝子(重要遺伝子)と日本の各地に適応した遺伝子(適応遺伝子)を同定し、日本水稲育種の歴史ならびに地域や気候への適応性を遺伝子レベルで解明することを目的とする。日本水稲品種群のうち作付け上位の品種および育成の母本として利用され、最近の育成品種を含めた144品種を全国6カ所で栽培して、各農業形質を測定し、ゲノムワイドアソシエーション解析(GWAS: Genome-wide association studies)を行い、関連する遺伝子を同定し、さらに重要遺伝子や適応遺伝子の区分を試みた。 到穂日数については主に7カ所、稈長については3カ所に関連が検出され、それぞれ重要遺伝子が到穂日数については4カ所、稈長については2カ所、適応遺伝子が到穂日数については3カ所、稈長については1カ所に区分ができた。今年度を含めた過去2カ年の結果GWASの検出ピークに相違があったことから、栽培条件または気象条件の差異が強く示唆された。多くが既存の遺伝子であることが確認されたが、その一方で2つの新規の農業形質遺伝子の同定に成功した。まず、染色体1にOsHESO1と命名された遺伝子が複数地点の到穂日数に関連していた。もう一つは染色体11にOsGATA28と命名された遺伝子が到穂日数だけでなく、稈長や穂長への遺伝的効果が明らかになり収量増加への貢献が期待できた。このように日本水稲品種集団を用いたGWASは候補遺伝子の迅速な絞り込みに有効であった。さらにその他の形質についても調査とGWASを実施して遺伝子を同定するパイプラインが確立したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
望外にも2つの新規農業形質遺伝子が同定できた。その他の遺伝解析も進んでおり、重要遺伝子と適応遺伝子がそれぞれ区分できた。また、各地の農業形質の調査は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
農業形質の調査の効率化のために、さらにICT化が進んできた。年次変動を確認するために、来期も3年目として同じ日本水稲品種群を調査してGWASを行い、一方交雑集団を使ったQTL解析を実施していく。系譜情報や集団遺伝学的手法の整備も着実に進み、来年度以降重要遺伝子または適応遺伝子の同定が可能になってきた。また各品種の全ゲノム配列決定の構想を練り、Whole-Genome SequencingをベースにしたGWASを準備する。これまでの結果や今年度の結果が遺伝解析だけでなく、各品種の生育予測やゲノミックセレクションにも利用できると考えられる。
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