研究実績の概要 |
1.GBSによる高温耐性コムギの分子解析基盤の構築:コムギのMSD集団から400個体を任意に選び、400の系統とした。これを昨年度スーダンの3か所の圃場に栽培し、うち1か所では通常播種区と遅延播種区を設けた。これら系統の農業形質および生理形質の調査を昨年度から、本年度にかけて行い、データを本年度に入手することができた。MSD集団は高温耐性に関し大きい変異があり、集団の遺伝的背景である農林61号や、スーダンの高コムギ品種より高い高温耐性を示す系統を得ることができた。これらの成果を発表すべく論文を取りまとめた。また、これら形質とDArT解析の結果をまとめて、ゲノムワイドアソシエーション解析を行った。
2.耐性系統の生理的解析:昨昨年度MSD集団をスーダンで栽培し、高温耐性と思われる9系統を選抜した。このうちの7系統をグロースチャンバーの制御温室条件下で栽培し、高温ストレスを暴露し、光合成速度等の生理形質を調査した。その結果、2系統が高温ストレス環境下において、正常条件より高い生育を示すものがあることがわかった。この系統は、コムギの高温ストレス耐性として重要な育種素材となると考えられる。これらの系統をDArTマーカーでジェノタイピングを行った。その結果を取りまとめて、Breeding Scienceに論文投稿し、受理された。
Elbasir AAE, Gorafi YSA, Tahir ISA, Kim J-S, Tsujimoto H (2017) Wheat multiple synthetic derivatives: a new soruce for heat stress tolerance adaptive traits. Breeding Science (in press)
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