研究課題/領域番号 |
15H04440
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
Wissuwa Matthias 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (90442722)
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研究分担者 |
近藤 勝彦 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 特別研究員 (60532702) [辞退]
石崎 琢磨 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 主任研究員 (30442718)
梅澤 泰史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70342756)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 育種学 / ストレス / 土壌学 / リン酸化プロテオーム / 国際農業貢献 |
研究実績の概要 |
本研究は,「リン欠乏耐性イネが如何にリンを吸収し効率よく利用しているか?」分子生物学・植物生理学的アプローチによりその機能を解明すると共に,それらの機能を低リン圃場において検証し,より効果的な育種利用・イネ創出につなげることを目的とし.以下の4つの項目について研究を行っている. [1. Pstol1 の標的タンパク質の検索(東京農工大 梅澤准教授が分担)] イネの根の形成を関与するPstol1(プロテインキナーゼ)のシグナル制御系を明らかにするために,リン酸化プロテオーム解析によりPstol1の標的タンパク質のスクリーニングを行う.本年度は、育成した材料[準同質遺伝子系統 (IR64-Pstol1 NIL: BC4F4)]を用いて,低リン条件下でのイネの冠根からタンパク質を抽出し消化酵素で断片化したのちリン酸化ペプチドを濃縮した. [2. リン利用効率に関わる候補遺伝子の同定] GWAS により同定されたリン利用効率に関わるQTL領域内から,リン欠乏条件下で遺伝子応答する候補遺伝子を定量的PCR 法により絞り込んだ.現在,形質転換体により候補遺伝子の過剰発現体・ゲノム編集によるノックダウン株(T3)の作成を完了した. [4. リン利用効率の候補領域を持った準同質遺伝子系統株の作出] 昨年度から2つの高リン利用効率系統を遺伝子供与体に用いて、IR64との2回の戻し交配とDNAマーカー選抜により,背景が受容体型であるIR64に置換したリン利用効率に関する準同質遺伝子系統(IR64-PUE NIL: BC3F1, BC4F1)をそれぞれ作製した.また,200個のSNPマーカーによるスクリーニングにより背景がほぼIR64型に置き換わっていることを確認している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[1. Pstol1 の標的タンパク質の検索] リン酸化プロテオーム解析を行う上で,用いる材料が非常に重要になる.今年度は,IR64の遺伝子型背景で2Mb以内のKasalath由来の遺伝子が挿入された準同質遺伝子系統 (IR64-Pstol1 NIL: BC4F4)を作成し,リン酸化プロテオームに供試できる材料が完成したことからも研究が進展している. [2. リン利用効率に関わる候補遺伝子の同定] 本年度,GWAS により同定されたリン利用効率に関わるQTL領域内から,定量的PCR 法により2つの候補遺伝子に絞り込んだ.また,高リン利用効率系統・低リン利用効率系統から,2つの候補遺伝子の翻訳領域やプロモーター領域の遺伝子解析や形質転換体に用いるコンストラクトを作製した.作製したノックダウン株はT3世代まで進んでおり,順調に研究は進展している. [3. 低リン条件下での各葉位別の一次代謝産物・リン構成要素の分析] 本年度は,メタボローム解析による一次代謝産物やリンが多く含まれている主要リン構成要素の網羅的解析を行った.高リン利用効率系統・低リン利用効率系統から,主要リン構成要素のうち,リン脂質・有機リン・無機リン・totalRNAなどの主だった代謝産物の解析は終わっているこのことからも,順調に研究は進展している. [4. リン利用効率の候補領域を持った準同質遺伝子系統株の作出] 昨年度から2つの高リン利用効率系統とIR64を用いて2回の戻し交配とDNAマーカー選抜により,リン利用効率に関する準同質遺伝子系統(IR64-PUE NIL: BC3F1,BC4F1)をそれぞれ作製した事からも,順調に進展している.また,SNPによるジェノタイピングによりほぼIR64型に置換されている個体が選抜されていることから,順調に計画は進行している.
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今後の研究の推進方策 |
[1.Pstol1 の標的タンパク質の検索] Pstol1(プロテインキナーゼ) の標的タンパク質を明らかにするために,今回作製した準同質遺伝子系統と、 新たにNipponbare遺伝子型背景の準同質遺伝子系統 (IR64-Pstol1 NIL: BC4F5; NB-Pstol1 NIL )を追加して,リン酸化プロテオーム解析を行い,標的タンパク質を同定する. [2. リン利用効率に関わる候補遺伝子の同定] GWAS により同定されたリン利用効率に関わる候補遺伝子の評価を,形質転換体により確認する.昨年度中にゲノム編集により得られた,候補遺伝子のよるノックダウン株の形質転換体(T3世代)を用いて,リン欠乏条件下でのリン利用効率に及ぼす影響の調査し,リン利用効率との関連性を明らかにする. [3. 低リン条件下での各葉位別の一次代謝産物・リン構成要素の分析] 高リン利用効率系統・低リン利用効率系統や形質転換体などの材料を用いて,メタボローム解析による一次代謝産物やリンが多く含まれている主要リン構成要素のリン脂質・RNA・有機リン・無機リンなどの,リン含有物質の網羅的解析を行い,全植物体中のリンの分布(profiling)を明らかにする. [4. リン利用効率の候補領域を持った準同質遺伝子系統株の作出] 本研究で作製した IR64-Pstol1 NIL系統(BC4F5)や,高リン利用効率系統とIR64を用いた戻し交配により作製した,リン利用効率に関するNIL系統(IR64-PUE NIL: BC3F2,BC4F2)を用いて. Madagascarの低リン圃場での現地栽培試験を開始し, 低リン耐性への効果を調査する.また,水耕栽培でリン利用効率に関する影響も調査する.
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