研究課題/領域番号 |
15H04442
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大川 泰一郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80213643)
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研究分担者 |
平沢 正 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 名誉教授 (30015119)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水稲 / 集積効果 / 倒伏抵抗性 / 強稈遺伝子 / QTL |
研究実績の概要 |
大型化する台風に耐える倒伏抵抗性極強のイネ多収品種を開発するためには、収量の増加とともに太稈や強稈質などの強稈性の付与による倒伏抵抗性の向上が不可決となる。穂、稈の形態形成過程の細胞分裂の両方に関わる多面発現遺伝子は、籾数増加と同時に太稈化し強稈となる。これらの遺伝子を複数集積することによって、倒伏抵抗性とともに収量ポテンシャルの飛躍的な向上が可能となる。そこで本研究では、倒伏抵抗性極強の超多収品種を開発するため、強稈性と多収性の両方に関わる多面発現遺伝子を複数集積し、その集積効果の発現機構を解明することを目的とする。平成28年度は、これまでに作出したハバタキに由来するSCM1、SCM2、中国117号に由来するSCM3、SCM4の3つの強稈遺伝子の2~3の組み合わせの集積系統の挫折型およびたわみ型倒伏抵抗性の評価を行った。その結果、たわみ型に関わる断面二次モーメント,挫折型に関わる断面係数は,QTLの集積数が多いほど増加し,集積効果が認められた.人工台風試験機で倒伏抵抗性を評価した結果,コシヒカリはたわみ型および挫折型倒伏する一方で,SCM1+2+3は湾曲角度が小さく,倒伏が抑えられた.収量関連形質では,SCM1+2+3はコシヒカリに比べ,2次枝梗数および2次枝梗頴花数の増加により1穂穎花数が有意に増加した.一方で1穂あたり穂数と登熟歩合が有意に小さかったため,コシヒカリと同程度の収量であった.以上の結果から,異なる強稈品種ハバタキおよび中国117号に由来する強稈遺伝子をコシヒカリに集積した系統では,断面二次モーメントおよび断面係数に集積効果が認められたが,組合せによって集積効果に相違があり,集積効果がよりプラスに働く組合せでQTLを集積することにより,稈を太くかつ皮層繊維組織を厚くし,たわみ型および挫折型倒伏抵抗性を付与できることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた集積系統の育成に一部遅れを生じたが、繰越しし期間を延長して実施した結果、予定通り4集積系統まですべての組み合わせの集積系統を育成することができた。すべての2~3集積系統の強稈形質、収量形質の評価を行い、強稈形質に明らかな集積効果があることを確認でき、集積効果の大きい組み合わせとその要因を明らかにすることができたことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
育成されたすべての2~4集積系統を用いて、強稈形質、収量形質の集積効果、集積効果の大きい強稈遺伝子の組み合わせとその要因を検討する。強稈遺伝子であるGn1,APO1, FC1の発現量が集積によって影響を受けるか、組み合わせによる発現量と表現型の集積効果との関連を明らかにする。これらの研究によって、強稈、多収に関わる遺伝子の集積効果とその発現機構を解明する。さらに、強稈遺伝子の集積による圃場での倒伏抵抗性の向上を実証する。
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