研究課題
大型化する台風に耐える倒伏抵抗性極強のイネ多収品種を開発するためには、収量の増加とともに太稈や強稈質などの強稈性の付与による倒伏抵抗性の向上が不可決となる。穂、稈の形態形成過程の細胞分裂の両方に関わる多面発現遺伝子は、籾数増加と同時に太稈化し強稈となる。これらの遺伝子を複数集積することによって、倒伏抵抗性とともに収量ポテンシャルの飛躍的な向上が可能となる。そこで本研究では、倒伏抵抗性極強の超多収品種を開発するため、強稈性と多収性の両方に関わる多面発現遺伝子を複数集積し、その集積効果の発現機構を解明することを目的とする。平成29年度は、これまでに作出したハバタキに由来するSCM1、SCM2、中国117号に由来するSCM3、SCM4の4つの強稈遺伝子の2~4のすべての組み合わせの集積系統の挫折型およびたわみ型倒伏抵抗性の評価を行った。その結果、挫折型倒伏抵抗性に関わる断面係数は4集積、3集積、2集積、単独NIL、コシヒカリの順で大きく、集積の効果が認められ、4集積系統の断面係数はコシヒカリより約1.8倍に増加した。たわみ型倒伏抵抗性に関わる断面2次モーメントは4集積、3集積、2集積、単独NIL、コシヒカリの順で大きく集積効果があり、SCM1+2+3+4はコシヒカリの約2.2倍と著しく増加した。ヤング率は集積により増加し、その結果、断面2次モーメントとヤング率の積である曲げ剛性は集積により著しく増加した。集積効果に対する貢献度はSCM1、SCM3で大きく、SCM1は稈の外径を大きくするだけでなく、皮層繊維組織の細胞分裂を促進し厚く発達する効果があることによって、断面2次モーメントだけでなくヤング率も同時に高め、その結果、曲げ剛性が大きくなることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Rice
巻: 11 ページ: 25
https://doi.org/10.1186/s12284-018-0216-3