| 研究課題/領域番号 |
15H04456
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| 研究機関 | 龍谷大学 |
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研究代表者 |
奥野 哲郎 龍谷大学, 農学部, 教授 (00221151)
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| 研究分担者 |
海道 真典 京都大学, 農学研究科, 助教 (20314247)
兵頭 究 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (80757881)
三瀬 和之 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90209776)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 植物ウイルス / RNA複製 / 活性酸素 / 細胞内膜 / Rboh / CDPK / ストレスシグナル / ROS |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は植物RNAウイルスの複製を正あるいは負に制御する宿主因子の機能と役割を明らかにし、ウイルス病防除法開発のための基礎を構築することである。申請者らはマメ科植物を主な宿主とするプラス鎖RNAウイルス、レッドクローバーネクロティックモザイクウイルス（RCNMV）をモデルとして用いウイルス複製酵素タンパク質と相互作用する宿主因子を免疫学的手法やRNAアプタマーを用いた手法と質量分析の手法などにより多数同定してきた。同定されたには膜輸送系、脂質合成系、活性酸素生成系、細胞シグナル系、ウイルスタンパク質と宿主タンパク質のリン酸化、アセチル化、メチル化、ユビキチン化などの翻訳後修飾に関わる様々なタンパク質が含まれる。
H28年度の研究では、前年度にほぼ明らかにした活性酸素の生成に関わるRbohとカルシウム依存タンパク質リン酸化酵素（CDPK）のRCNMVとブロムモザイクウイルス (BMV)増殖およびRNA複製における機能と役割の詳細についてさらに明らかにするため、NbRbohB 阻害剤によるNbRbohB 活性阻害に加えRNAサイレンシングによりNbRbohBの発現を抑制した植物でもp27は活性酸素の生成を誘導できないことを明らかにした。その結果、p27がRbohB依存的に活性酸素バーストを起こすことを実証でき、活性酸素バーストはRCNMV RNA複製の必須因子であることを確実に証明できた。また、RbohとCDPK依存的に生成される活性酸素種であるスーパーオキサイドアニオンと過酸化水素のウイルスRNA複製における要求性がRCNMVとBMVで異なる可能性があることを示唆する実験結果を得た。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RbohとCDPK依存的に生成される活性酸素種のウイルスRNA複製における要求性がRCNMVとBMVで異なることを示唆する実験結果を得たことはプラス鎖RNAウイルスの複製におけるROSの役割とその機構解明を目指す本研究を今後大きく進展させる可能性がある。植物の様々な病原体に対して負に作用すると考えられていた活性酸素産生（ROS）が植物RNAウイルスの複製において正に作用することを明らかにした論文をアメリカ合衆国科学紀要（PNAS）に発表できた。このように本研究は順調に進んでいると考える。
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| 今後の研究の推進方策 |
スーパーオキサイドアニオンや過酸化水素のウイルスRNA複製における役割とその機構研究を以下の研究と関連させて進める。ウイルスRNA複製工場の形成に関わると考えられる脂質生合成関連のHMG-CoA合成酵素（HMGS）とHMG-CoA還元酵素（HMGR）、およびタンパク質修飾に関わるアセチル化酵素複合体構成サブユニットと脱アセチル化酵素ヒストンデアセチラーゼ１の研究、および、RCNMV RNA複製複合体に含まれていたTm1タンパク質（トバモウイルスの複製酵素に結合しウイルス複製を抑制するタンパク質）のダイアンソウイルスの複製における役割研究。これらの研究を前年度と同様の手法を用いて進めていく予定である。
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