研究課題
本研究の目的は、植物RNAウイルスのRCNMVをモデルウイルスとして用い、ウイルスRNA複製複合体に含まれる宿主タンパク質のウイルス増殖における役割を解明し、ウイルスと宿主間で繰り広げられる攻防の分子ネットワークにおける新たな分子基盤を提供することである。これまでRCNMV複製に重要であると考えられた候補遺伝子のうち、特に免疫・ストレス応答のシグナルにもなる活性酸素の生成に関わるRbohとCDPKを中心に研究を進めてきた。昨年度、植物の様々な病原体に対して負に作用すると考えられていた活性酸素産生(ROS)が植物RNAウイルスの複製において正に作用することを昨年度明らかにし、論文はアメリカ合衆国科学紀要(PNAS)に掲載された。この研究成果を踏まえ、今年度は、RCNMV複製の新規宿主因子、 RACK1 (receptor for activated C kinase) の機能解析を行った。RACK1はp27、CDPKiso2の双方と相互作用し、RCNMV複製およびp27誘導性ROS産生に必要な因子であることが明らかとなった。さらに、RACK1ノックダウンによりp27-CDPKiso2間相互作用が顕著に阻害された。以上のことから、RACK1はp27とCDPKiso2のアダプターとして機能し、ウイルス誘導性ROS産生に貢献すると考えられる。さらに興味深いことに、RACK1は、RNA1のRNA因子3’CITE に依存したキャップ非依存的翻訳にも重要な役割を持つことが明らかとなった。この発見はRACK1が翻訳とRNA複製いずれにおいてもキー因子として働くことを示しており、また、RACK1が翻訳とRNA複製間の制御に関わる可能性を示唆している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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