研究課題
菌体密度感知機構転写因子であるPta6605のPsyR, PsyB728aのAhlRを組換えタンパク質として生産させ、標的候補であるAHL合成酵素遺伝子(psyI, ahlI)プロモーターの非完全逆方向反復配列に結合することを明らかにした。また、PsyRはhrpLのプロモーターに存在する非完全逆方向反復配列にも結合することを確認した。PsyRはAHL非存在下でpsyIプロモーターに結合したが、そこにAHLが存在すると転写が活性化することが判明した。PsyB728aでも同様にahlIの転写はAHL存在下で活性化されたが、その程度はPta6605に比べると低かった。P. syringaeの種々の分離株でAHL生産能を調べたところ、PtoDC3000など多くの株でAHLを生産しないこと、それらのpsyI, psyR遺伝子は変異していることが明らかとなった。そこでPtoDC3000において菌体密度に応じた遺伝子発現が行われているかを高菌蜜度と低菌密度から調製したRNAを用いてマイクロアレイ解析を実施し、高菌密度で103遺伝子の発現が1/2以下に低下し、noncoding small RNAであるrsmX, rsmYを含む310遺伝子の発現が2倍以上に誘導されることを明らかにした。これらのRNAはGac2成分制御系下で特定RNAの翻訳制御を行うことが、P. protegensなどで知られている。ノーザン解析によりPtoDC3000およびPta6605のrsmX, rsmYの発現は高菌体密度で誘導された。また、Pta6605のgacA欠損変異株ではrsmX, rsmYの発現が見られなかった。以上のことから、P. syringae にAHLを介しない菌体密度感知機構の存在が示唆された。また、菌体密度感知機構におけるGac/Rsmシグナル経路の重要性が推察された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)
Molecular Genetics and Genomics
巻: 未定 ページ: 未定
doi.org/10.1007/s00438-018-1430-9