タバコモザイクウイルス (TMV) にコードされる130Kタンパク質は、そのリードスルー産物である180Kタンパク質とともにゲノムRNAの複製を司るタンパク質である。130Kタンパク質は、翻訳と共役してゲノムRNAの5'非翻訳領域を含む約70ヌクレオチドの領域に結合し、非膜結合性複合体 (pre-membrane-targeting complex: PMTC) を形成する。TMVのRNA複製複合体は膜上に形成されるが、PMTCは複製複合体の前駆複合体と考えられ、その形成はRNA複製における最初の鍵段階となっている。本年度は、PMTCの形成に必要なTMV RNA上の配列を、実験に先立って推定するため、TMVが属するトバモウイルス属に含まれる複数のウイルス種のゲノムRNA 5'末端領域の配列の解析を行った。これにより、ACAの3塩基のブロックが繰り返しあらわれることが重要であることが示唆された。また、これまでの成果をとりまとめ、Annual Review of Phytopathology誌に総説を投稿した。
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