タバコモザイクウイルス (TMV) は一本鎖RNAゲノムをもつ。ゲノムRNAは宿主細胞内の膜上に形成される複製複合体の中で相補鎖RNAを介して複製する。我々は、複製複合体の形成に先だって、ウイルスにコードされた複製タンパク質とゲノムRNAを含むリボ核タンパク質複合体 (PMTC) が形成されることを見いだした。本研究では、PMTCの分子的実体とその形成機構の解明を目指して解析を行った。その結果、PMTCは複数の複製タンパク質を含む巨大な複合体で、その形成には約70塩基にわたるACAに富む配列が必要であること、また、PMTC形成には宿主由来の因子が必要である可能性が示唆された。
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