研究課題
1.各種組換えシロイヌナズナとpah1pah2変異体を用いて、過剰Al、Cd、Ni、Na、Cu、Mn、低Ca、低pH耐性を調査した結果、pah1pah2はCd感受性を、HMGやPAH2過剰発現体はCd耐性を示した。2.生育ステージを進めた苗の全根長を基準とする評価では、HMG過剰発現系での有意なAl耐性強化が認められたが根端ステロールは上昇しなかった。PAH過剰発現系でAl耐性の上昇傾向が認められたので、後者の評価法で再検討中である。3.Japonicaイネは暗所でAl耐性が上昇することが見いだされた。耐性の向上要因として、(1)隙間の多い膜脂質層を補修できないステロール種であるstigmasterolの生合成を抑えるためsterol-Δ22-desaturase活性の抑制の重要性や、理由が不明であったIndicaイネのAl耐性の弱さとこれとの関連性が示唆された。(2)メバロン酸回路の中枢中間産物であるisopentenyl bisphosphate(IPP)のplastidへの輸送を抑えること、(3)HMG遺伝子の発現の上昇が重要であること、が解った。4.PAH過剰発現株は、イネではリン少量供給条件で、シロイヌナズナではリン不足条件下で生育が良好であり、強制的リンリサイクルによる低リン耐性の向上が考えられた。後者のpah1pah2株ではリン欠による顕著な生育低下がsucrose投与で軽減され、この遺伝子のシグナル伝達への関与も示唆された。5.低リン耐性の強い赤米は、低リン条件下でグルクロノシルグリセロール・糖脂質・硫黄脂質の上昇、リン脂質の減少がより高かった。ダイズでの低リン耐性比較も行った。6.細胞膜脂質層中に細胞内外の有機物を分配させることで、各種のイオンストレスへの耐性や、膜での種々の生理活性を変化させうる可能性が予想され、今後のこの分野での研究の進展が期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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