引き続き、イネ節で高発現するミネラル輸送体候補について解析を行った。ホウ酸の輸送体OsNIP3;1について詳細な生理機能解析を行い、新葉へのホウ素の分配に寄与し、破壊株ではホウ素欠乏条件下で著しく生育が悪化することを明らかにした。その発現はホウ素欠乏-ホウ素過剰に応答して、転写レベルおよびタンパク質レベルで制御される。節で高発現する2種類のメタロチオネインについては、遺伝子破壊株を用いた解析から、それぞれ亜鉛及び銅の分配や節への蓄積性に影響を及ぼし、二重変異体においてはより顕著な表現型を示した。 節の肥大維管束木部転送細胞で高発現するケイ酸輸送体Lsi6のプロモーター解析については、昨年までに5kbまでの上流配列やイントロンを含む構造遺伝子、3’UTR配列を導入しても導入遺伝子の節における発現が内在のLsi6とは大きく異なること、Lsi6遺伝子の上流約2.4kbにT-DNAが挿入された変異株においても内在のLsi6の発現様式に影響を及ぼさないことを明らかにしていた。本年度はさらにLsi6プロモーター上の2カ所を同時にターゲットとするCRISPR/Cas9法による変異導入を試み、プロモーター領域が数百bp以上欠失した複数の変異体の解析から、これらの領域の欠失が内在のLsi6の発現様式に影響を及ぼさないことを明らかにした。これらの結果から内在のLsi6の発現制御に関わる蓋然性が高い領域を約250bpに絞り込んだ。
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