研究課題
1.インド型イネ・タカナリの窒素応答・高CO2応答の解析日本型イネ日本晴と異なり、インド型イネ・タカナリでは、生育後期においても葉身窒素含量が低下しないことが知られている。また、水田を用いたFACE実験で、高CO2環境でも葉身窒素含量が低下しないと報告されている。(1) グロースチャンバー内でポットを用いて土耕栽培したところ、日本晴と比べ、タカナリは生育初期に低窒素条件で生育が旺盛だが、生育が進むと日本晴より早く窒素欠乏に陥ることがわかった。これは、タカナリは窒素吸収能が高いが窒素利用効率は必ずしも高くないことを示している。(2) タカナリを高CO2環境で栽培すると、日本晴と同様の高CO2応答を示した。すなわち、高CO2処理開始時点での発達段階がP4の葉(P4葉)の葉身長が減少し、P3葉の葉身幅が減少することがわかった。これは、高CO2環境に対する感受性と高CO2の作用メカニズムが日本晴と同じであることを示している。2.高CO2環境を伝達するシグナル物質の同定とシグナル伝達経路の解明(1) 添加実験により、各種の糖に加え、ある種の植物ホルモンの添加で、葉身サイズが小さくなることがわかった。(2) トランスクリプトーム解析に向け、P4葉の採取条件を検討した。採取は氷上で行ったが、P4葉を包んでいる下位葉を除去するのが困難なため、P4葉1枚の採取に10-20分を要した。採取したP4葉10枚を1セットとしてRNAを抽出したが、純度の高いRNAは得られなかった。
2: おおむね順調に進展している
高CO2処理に使用するグロースチャンバーの故障のため、実験の中断を余儀なくされた。当初計画より研究はやや遅れ気味であるが、変更後の計画通りに進捗している。
高CO2環境を伝達するシグナル物質の同定とシグナル伝達経路の解明に向け、シグナルの送り手である最上位最大展開葉(P6葉)とシグナルの受け手である発達中のP4葉のトランスクリプトーム解析を行い、高CO2処理で発現変動を受ける遺伝子群を明らかにする。28年度は、P4葉の採取方法を検討し、純度の高いRNAの取得を目指す。
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