研究課題/領域番号 |
15H04472
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高橋 康弘 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10154874)
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研究分担者 |
和田 啓 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 准教授 (80379304)
福山 恵一 大阪大学, 工学研究科, 招へい研究員 (80032283)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 鉄硫黄タンパク質 / 鉄硫黄クラスター / 生合成 |
研究実績の概要 |
本研究課題の進行状況を以下にまとめる。 1)SufBCD複合体の結晶構造を世界に先駆けて決定した。SufBとSufDの立体構造は相同で、どちらもN末端ヘリカルドメインとC末端ヘリカルドメインの間に、20本のストランドが扁平ならせん状に巻き付いたユニークなβ-ヘリカルコアドメインを持つことが明らかになった。この構造からは、ATPの存在下でSufC2分子が会合しSufBとSufDのβ-ヘリカルコアドメインに大きな構造変化が生じるという可能性が推定され、これについて生化学的に検証した。 2)イソプレノイドの生合成系を改変することによってFe-Sクラスター生合成系の必須性を回避し、“Fe-Sクラスターがなくても生きられる大腸菌変異株”をはじめて構築した。この変異株の特性を明らかにするとともに、関連する遺伝子群を自在に操作することのできる実験系を開発した。 3)SufBとSufDに系統的な変異を導入し、in vivo 機能に重要な9残基を同定した。そのうち6残基はSufBのβ-ヘリカルコアドメインのN末端側領域に集中しており、残りの3残基はSufBとSufDとの会合面とその近傍に位置していた。これら二つの領域にはシステインが1残基ずつ含まれており、その2残基は他の19種類のアミノ酸では代替できない必須残基であることを明らかにした。 4)SufBCD複合体の阻害剤のスクリーニングに着手した。本年度は、理化学研究所の化合物バンク(NPDepo)のうち、化合物アレイを用いて約30,000種の化合物の中からSufBCD複合体に結合する化合物1072種を同定した。今後、in vivoにおける阻害効果を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SufBCD複合体の構造解析ならびに変異導入解析によって、作動機構に関する重要な手掛かりが得られた。研究成果を論文として公表するとともに、進行中のものは学会で発表しており、研究計画が概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
SufBCD複合体の作動機構を包括的に理解するためには、結晶構造に基づいて生理学的・生化学的な研究をさらに発展させる必要がある。加えて、構造機能相関や構造変化の実体を捉えるためにも、SufBCD複合体に強固に結合する阻害剤のスクリーニングを進める。
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