| 研究実績の概要 |
Methylobacterium属細菌は植物葉上の主要な共生細菌であり、植物が放出するメタノールを利用して優占化している。本属細菌が持つ複数のメタノール脱水素酵素(MDH)のうち、MxaFはカルシウム依存型MDHであり、XoxFはランタノイド(Ln)型MDHであることことが最近分かってきた。ランタノイドに依存する酵素として初めて知られた例である。本属細菌におけるこれらの発現調節や、これら遺伝子のホモログの機能の多くが理解されていない。
本研究では、Methylobacterium属細菌において、これら二つがメタノール、エタノールでの生育に必須であること、他のADHがプロパノールなどのアルコールへの生育に関与することを遺伝学的に明らかにした。
またXoxF1欠失株はMxaFの発現が起こらなくなりメタノールへの生育能を失うが、自然突然抑制変異株のゲノム解析から、MxaF, XoxFの発現切り替え機構に関わるMxbD遺伝子に変異が見つかった。MxbD遺伝子について遺伝学的解析を行い、MxbDがMxaFの発現に必要であること、XoxFの発現には必要無いこと、またMxbDのHAMPドメインにおける自然突然変異がMxaF発現のXoxF発現依存性を解除することを明らかにした。
一方でXoxFが多くの微生物ゲノムに見つかることから、ランタノイドに依存したメチロトロフの存在が示唆された。そこでランタノイド存在下でメタンに生育する細菌のスクリーニングを行ったところ、ランタノイドに依存したメタノトロフは得られなかったが、ランタノイドに依存または生育が促進される新属のメタノール資化性細菌を分離し、これらをOharaeibacter diazotrophicus及びNovimethylophilus kurashikiensis と名付けた。これらの株のゲノム解析及びMDH遺伝子の発現等を調べ、ランタノイド依存的生育を示す後者の株はMxaFを持たないことを確認した。
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