研究実績の概要 |
当初の計画に従い、4種のファージについて各々の特徴づけを進め、系統学的相互関係がほぼ明らかになった。(1)ゲノム解読については、RSL2(AP014693),RSL3( AP017925), RSL4(AP017924)を完了し、RSL5について、ランダムプライマーを用いて逆転写後イルミナシークエンサー解析を行った。117kb断片の塩基配列決定により、RSL5がRSL1(AB366653)に非常に近いことが判明した(配列相同性>95%)。ゲノム修飾に起因し最終解読は困難であるが実際のサイズは250kbp前後と予想される。PFGEによる約400kbpもの巨大ゲノムサイズは、未知のゲノム修飾に起因すると思われる。(2)プロテオミクス:RSL2、RSL3、RSL4については粒子プロテオミクスを完了し、データベース登録をした(2報論文発表)。(3)感染特性:4種のファージに共通した特徴は長い感染サイクル(4-6h)と比較的小さいバーストサイズ(30-60pfu/cell)である。このサイクルは宿主菌集団とファージの持続的共存を意味し、病原菌のバイオコントロールにおいては有利な特性となる。(4)トマトを用いた青枯病菌防除効果:ファージ処理は何れも長期にわたり高い予防効果を発揮した。特にRSL4とRSL5の効果は安定していた。(5)系統解析: RSL2とRSF1のクラスターはRSL3とRSL4のクラスターとともに緑膿菌ファージphiKZと同一クレードを形成した。RSL1(RSL5)は最大のゲノムを有するファージGに近く、まったく独立した位置づけとなった。さらにXanthomonasファージXacN1(385kbp)のゲノム解読を行い、最新のデータベースを用いた系統解析を行なった。その結果、新たな350kbp以上のゲノムを有する超大型ファージの系統が明らかとなった。
|