研究課題/領域番号 |
15H04479
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 克周 広島大学, 理学研究科, 教授 (50221320)
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研究分担者 |
平賀 良知 広島工業大学, 生命学部, 教授 (10238347)
山本 真司 広島大学, 理学研究科, 特任助教 (50607348)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Agrobacterium / 感染遺伝子発現調節 / イネ形質転換 / クマリルアルコール代謝 / 代謝遺伝子 |
研究実績の概要 |
(1)クマリルアルコール脱水素酵素の候補遺伝子3つ(atu0626, atu3278, atu5202)をそれぞれ発現ベクターに組込んで大腸菌で強制発現させたところ、atu5202とatu3278を発現した抽出粗酵素液は顕著なPCAL脱水素酵素の活性を示した。C58株の粗酵素液を用いた暫定的な酵素特異性をみると直鎖状アルコールに活性をほとんど示さなかった。今後、単独遺伝子の強制発現株についても種々のアルコールを用いて特性を把握する。atu0626を強制発現操作した大腸菌粗酵素液は活性を示さなかったが、次に述べるように、atu0626が正常な2重変異体菌株では野生型に近い酵素活性を示すので、強制発現体でatu0626タンパク質生成量の問題の可能性が考えられる。(2)前年度に作成した複数の遺伝子をそれぞれ1つだけ欠失した変異体や2重変異体はクマリルアルコール脱水素酵素活性もクマリルアルコール分解能力も低下しなかったので、今年度はC58株を基にして3重変異体(atu0626欠失変異, atu3278欠失変異, atu5202を持つpAtC58プラスミド脱落)を作成した。3重変異体のPCAL脱水素酵素の活性を測定したところ、大幅に低下しており、P-Ag-5 株の酵素の活性レベルに近づいた。細胞を使用したPCAL分解活性はP-Ag-5 株とC58株の中間程度であった。この3重変異体作成時のpAtC58プラスミド脱落操作ではatu5202は欠失していたが、540kbpと巨大なプラスミドの約40%は残っており候補となる遺伝子が残骸プラスミドにあるので、この3重変異体を基にしてプラスミド全体の完全欠失体を作成すると共に、他の候補遺伝子も破壊した多重変異体の作成も必要と考えられる。(3)P-Ag-5の他にも有用な特性を示す菌株を複数見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度に3重変異体まで作成してようやく分解酵素活性は大幅に下がり、培養レベルの分解力は野生型株とP-Ag-5株の中間に至った。次年度も残りの候補遺伝子の破壊を行なう必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に3重変異体まで作成してようやく分解酵素活性は大幅に下がり、培養レベルの分解力は野生型株とP-Ag-5株の中間に至った。次年度は更に残りの候補遺伝子の破壊を行なう。特に、atu5202以外にも複数の候補遺伝子をもつpAtC58プラスミドの完全欠失作業は喫緊の課題である。今年度に見出したP-Ag-5以外の有用な特性を示す菌株についても平行して解析を行なう。原因遺伝子を探るためにプラスミドの入れ換えならびにゲノム解析を行なう。
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