超好熱性アーキア(Pyrococcus horikosii OT3)RNasePは、1分子のRNA(PhopRNA)と5種のタンパク質(PhoPop5、PhoRpp21、PhoRpp29、PhoRpp30、PhoRpp38)から構成され、PhopRNA単独では触媒活性を示さず、タンパク質との相互作用により活性化される。本年度は、構成タンパク質PhoRpp21とPhoRpp29のPhopRNAに対する結合能を検討した。その結果、PhoRpp21は単独でPhopRNAと結合できるのに対し、PhoRpp29はPhoRpp21の非存在下ではPhopRNAに対する結合能が弱いことが分かった。次に、PhoRpp21-PhoRpp29のPhopRNA活性化に関与するアミノ酸をPhoRpp21 N 末端ヘリックスに位置するLys53、Lys54、Lys56とArg82、Arg84、Arg86、およびPhoRpp29のC末端10アミノ酸残基と特定した。次に、PhoRpp21-PhoRpp29複合体のPhopRNAにおける結合部位の特定を試みた。その結果、複合体はCRIIIを含む一本鎖領域に結合することが分かった。 以上の結果を総合して、PhoRpp21-PhoRpp29複合体はPhoRpp21のC末端領域のArg残基を介してPhopRNAのP11とP12へリックス(二本鎖構造)を繋ぐループ近傍(A198-U214)に結合し、PhoRpp21 N 末端ヘリックスに位置するLys53、Lys54、Lys56とPhoRpp29のC末端10アミノ酸残基が、PhopRNAのCドメインの構造形成を促進するとともに、pre-tRNA結合領域の構造形成にも関与していることが示唆された。
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