リボヌクレアーゼP(RNase P)は、前駆体tRNAの5´末端余剰配列のプロセシングを触媒するエンドヌクレアーゼで、RNAとタンパク質から構成されているリボ核タンパク質酵素である。超好熱性アーキアRNase P RNA(PhopRNA)は、それ自身では触媒活性を示さず、5種のタンパク質(PhoPop5、PhoRpp21、PhoRpp29、PhoRpp30、PhoRpp38)との相互作用によりその触媒活性が活性化さる。本研究では、P.horikoshii RNase Pの高次構造モデル(3-Dモデル)を構築するとともに、再構成酵素・RNase Pを精製し、その構造を透過型電子顕微鏡により検討した。 まず、各タンパク質の結晶構造と各タンパク質とPhopRNAの相互作用部位に関する情報に基づき、RNase Pの3-Dモデルを構築した。その結果、RNase Pは185 x 85 x 85Åのサイズを示し、PhoPop5とPhoRpp30のヘテロ4量体がPhoPop5のC-末端ヘリックスを介してPhopRNAのヘリックスP3とP16に結合し、PhoRpp21とPhoRpp29はヘテロ二量体を形成して、PhopRNAのへリックスP11とP12を繋ぐ一本鎖ループに結合していることを示した。一方、PhoRpp38はPhopRNAの3箇所のK-ターンに結合していた。 次に、RNase Pの高次構造情報を得るために、再構成酵素・RNase Pを各種クロマトグラフィーにより精製した。続いて、再構成酵素の構造をネガティブ染色法による透過型電子顕微鏡で解析したところ、RNase Pは185 x 95 x 95 Åのサイズを示し、RNase Pの3-Dモデル構造を重ねたところ、比較的良く一致し、今後、電子顕微鏡による単粒子解析により、超好熱性アーキアRNase Pの高次構造が決定できる可能性を示唆した。
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