研究課題
菌が菌に寄生するマイコパラサイト現象では、その機構にアレロケミカルの存在が想定できるものの、その詳細はほとんどわかっていない。申請者は最近、リンゴ果実上でのマイコパラサイト現象の分子機構として、これまでにないアレロパシー機構を証明したが、それは一例に過ぎず、同現象にはさらなる未知の異種菌間コミュニケ-ションが存在すると予想される。本現象詳細の解明は科学的興味のみならず、病原菌成長制御の視点から農業生産にも応用可能と期待されることから、複数のマイコパラサイトを対象として、その支配物質候補を探索、機構解明研究に向けた基礎データの蓄積を行った。その過程で、マイコパラサイト現象が確認されている糸状菌の多くで多様な二次代謝物を見出した。マイコパラサイトは一般に二次代謝物の種類が多く、テルペノイドーポリケチドなどのハイブリッド二次代謝物が含まれている。野生環境では遭遇する外敵も多様であり、ハイブリッド化は手持ちの二次代謝物の構造空間を効率的に多様化させる効果があると結論した。マイコパラサイト支配物質には、アロモン的機能が予想され、抗菌性、抗ウィルス性、殺細胞性など点から新薬としての応用も期待できる。本研究の過程で、cyclohelminthol類12化合物、neomacrophorin類15化合物をはじめ、新規trichothecene5化合物、eremophirane類3化合物、その他4化合物を発見、その構造を明らかにした。これら化合物には複数の4級炭素化合物も含まれており、それらの構造決定の過程で、密度汎関数軌道計算を効果的に応用した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 査読あり 16件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 3件)
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