研究課題
ジベレリンの合成中間体であるent-カウレン酸(KA)から代謝され、ヒメツリガネゴケの分化を誘導する活性型代謝物として、KAの3位が水酸化された3OH-KAを同定した。加えてNGS解析からの成果としてKAの 2位を水酸化する酵素(KA2ox)遺伝子を特定し、2OH-KA合成過程が不活性化反応であることも示した。さらに、KA2ox遺伝子の発現応答様式を解析して、上記3OH-KAが活性本体であることも示した。これらの研究成果は3月中旬に査読付き原著論文として受理され、公表の機会を得た(Miyazaki et al.印刷中)。具体的な成果を挙げる。〔①〕3OH-KAはKAと比較して生理活性強度が大きく上昇した。〔②〕KA代謝物追跡系に倣い、KA合成能欠損変異体に対して3OH-KAを投与することにより3OH-KA代謝物の追跡を展開したが、生体からの抽出・精製・生物検定評価を経た結果、新たな活性物質の存在を認めなかった。〔③〕他方、次世代シーケンサを用いた網羅的発現解析から、KA分子内の2位に水酸基を付与するent-カウレン酸2位水酸化酵素(KA 2-oxidase)をコードする遺伝子を特定した。〔④〕2OH-KAはKAと比べて生理活性が大きく低下した。〔⑤〕KA 2-oxidase酵素遺伝子に関する欠損変異体を作出したところ、定常レベルで細胞分化を生じやすい形質を持つことを確認した。〔⑥〕さらに、次世代シーケンサ実施時よりも短時間の投与処理条件(投与後6時間)におけるKA2ox酵素遺伝子の発現はKA投与に応答しない一方で、3OH-KA投与では明瞭に増加することを確認した。上記①②⑥の観点から、3OH-KAが永年追跡対象に据えてきた「ジベレリン起源物質」とも呼ぶべき活性本体であり、③④⑤の観点から2OH-KAへの変換反応は不活性化の過程と結論した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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