研究課題/領域番号 |
15H04493
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田野井 慶太朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90361576)
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研究分担者 |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
高梨 功次郎 信州大学, 先鋭領域融合研究群山岳科学研究所, 助教(特定雇用) (10632119)
小林 奈通子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60708345)
杉田 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60724747)
廣瀬 農 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任講師 (90708372)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生理活性物質イメージング |
研究実績の概要 |
初年度は、これまでのRIイメージング手法のうち、特に凍結切片法によるオートラジオグラフィ法について、生理活性物質への適用を試行した。14Cや3Hで標識したオーキシンをイネ幼植物へ添加し、イネ根端を採取の後凍結切片を作成して根端のRI分布の可視化を試みた。その結果、14Cよりも3Hの方が解像度高く可視化することができた一方で、14Cの方がβ線のエネルギーが強いことから、解像度が悪いものの可視化できる成功率が高く、またハンドリングが容易であった。また、市販されている標識化合物において、3Hの方が14Cに比較してmolあたりのBq数が圧倒的に多いことから、薄い濃度域でのオーキシンを検出するには3Hを使うのがよいと判断された。 続いて、RIラベルしたオーキシン分布とオーキシン応答遺伝子の発現パターンとを比較するため、ダイズおよびイネにおいてDR5-gus等を導入した植物の作成を行った。特にダイズは根が太いことから凍結切片も作成しやすく、RIイメージングの技術開発を行うには適していると判断し、ダイズの形質転換に挑戦した。選択培地で生育するダイズ個体を得ることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、放射性炭素であるC-14や放射性水素であるH-3で標識したオーキシンを植物の根に添加し、その像を得ることができた。特に、凍結での切片を作成してから放射性同位体の分布をイメージングする手法を適用することで、微量のオーキシンの像を得ることができたため。 こうしたオーキシンの像を既存のオーキシン応答遺伝子の発現とを比較する計画で進めており、現在、DR5-gus等の形質転換体をイネおよびダイズで作成しているところであり、そろそろ種子を得られる段階である。 これらの事から、RIイメージング手法開発としては概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では多種多様な化学物質をイメージングの対象にする方針であったが、研究を進めるうちに、化学物質を絞りイメージング技術の深化・汎用化を進める方が有意義であるとかんがえられるようになってきた。そこで、生理活性物質をオーキシンに絞った上で、ミュータントの解析などを通じてどういった手法・解析例が重要であるかを判断しながら、技術開発をより進める方向で研究計画したいと考えている。
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