研究課題
(1)コンジェニック系統群を用いた原因遺伝子の存在領域の絞込み・・・7種類のコンジェニック系統のT2DMとT1DM形質を判定した結果と、対照系統に導入した糖尿病マウスの染色体領域との連鎖解析により、両形質を発症させる糖尿病遺伝子の存在する染色体領域の絞り込みを進めた。繁殖が予想よりも遅れたコンジェニック系統が複数あり、絞込みについても最終的な結果にまでは至っていないが、マウスの個体数がそろい次第絞込みは完了する。(2)網羅的遺伝子発現量比較解析による候補遺伝子の選抜・・・膵臓ラ氏島を候補遺伝子を単離する標的臓器とし、この組織において糖尿病コンジェニック系統で発現レベルが変化している遺伝子を候補として選抜することを目的とした。(1)項で絞り込まれたNSY由来染色体領域を持つ糖尿病コンジェニック系統とC3H系統(8週齢)の膵臓をコラゲナーゼ消化してラ氏島を単離し、RNAを抽出してDNAマイクロアレイ解析を行う準備を進める。ラ氏島の単離方法については確立できた。(3)ゲノム変異情報に基づいた当該領域内でエキソンに変異を有する候補遺伝子の選抜・・・当該領域内に存在し、エキソン中の変異によりその機能が変化あるいは消失して糖尿病を発症させる遺伝子を探索することを目的とした。次世代シークエンサー解析によりNSYとC3H系統間のゲノム変異情報を整備した。今後、当該染色体領域内で両系統間でエキソンに変異(アミノ酸置換を伴う変異、欠失、挿入)を有する遺伝子を選抜する。それらの内、ラ氏島機能や糖代謝への関与が示唆されている遺伝子を候補として選抜する。さ候補遺伝子の変異は、キャピラリーDNAシークエンサーで解読を行って再確認する。
3: やや遅れている
糖尿病遺伝子の染色体上のいつの狭小化に不可欠なコンジェニック系統の繁殖が予想よりも遅れたことによる。最善の方法でマウスの繁殖を継続してきたが、各系統の産仔数も予想よりも少なかったため、表現型解析のためのマウス個体数の確保が遅れた。このことが研究の進捗が遅れた主な理由である。
コンジェニックマウスの繁殖については交配個体数を最大限に増やして、実験に供するマウス個体数をできるだけ多く確保できるように対策する。候補遺伝子を選抜するために必要な膵臓ランゲルハンス氏島単離技術は確立できているので、糖尿病遺伝子を保有するコンジェニック系統が決まり次第、早急にランゲルハンス氏島を単離してそのマイクロアレイ解析を進めて、候補遺伝子を選抜する方策を取る。
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BMC Genet.
巻: 17 ページ: 73
10.1186/s12863-016-0385-2
巻: 17 ページ: 145
10.1186/s12863-016-0453-7