研究課題/領域番号 |
15H04517
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
星崎 和彦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (30322655)
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研究分担者 |
正木 隆 国立研究開発法人森林総合研究所, 森林植生領域, 領域長 (60353851)
野口 麻穂子 国立研究開発法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (00455263)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 種子生産量 / 長期観測 / 撹乱体制 / 年変動 |
研究実績の概要 |
1980年代以来、奥羽山系試験地(カヌマ沢渓畔林)および阿武隈試験地(小川植物群落保護林)では、基本的なプロットのデザインを共有しつつ種子生産量/落葉量を測定するトラップ調査を行ってきた。本年度は、両サイトで24~28年間のケーススタディのハイライトを国際学会で紹介した。カヌマ沢渓畔林では撹乱は林冠の破壊だけでなく河川堆積物の大雨による移動も含まれる。ここでは撹乱の組み合わせが、様々なサイト条件を提供することを通じて多様な樹種の定着につながっていることが示された。小川保護林は日本ではもっとも成功した森林研究サイトであり、樹木の基本的な生活史パラメータとその変動性(例えば中静2001)が示されてきた。また1987年から1995年の9年間のデータを用いて、群集全体の種子生産量の年変動が記載された。その研究で見出された事柄は、より長期的なデータによる検証が可能であるほか、カヌマ沢渓畔林でも同様の検証が可能である。学会では、今後これらの研究サイトには種子生産や樹木の更新に関する十年規模の動態を探るための十分な機会があるという点を紹介した。また、最新バージョンのデータセットに基づいて、20世紀後半以降の環境変化に沿って樹木の種子生産量に起こっていそうなのいくつかの事柄について見通しを示した。 このほか、2016年は阿武隈試験地で直径1~5cmクラスの稚樹の全木調査を完了し、約13000本の稚樹データを成木と同じデータ取得方法によって得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)阿武隈試験地では稚樹の大規模調査が完了し、データ入力も終えた。これを実生データ、成木データと統合すれば樹木の生活史を通算した統合データベースに出来る段階に達した。(2)奥羽山系試験地では過去24年間の開花量および種子生産量の統合データがほぼ完成した。現在12万件を超えるデータが一つのシートに記載され、数えられたサンプルの数は240万個を超える。個々の数値にはまだ保管サンプルとの称号で確認すべきレコードが1000件ほど残っているが、種子生産ビッグデータは完成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
(1)種子生産データベースのクオリティ・チェックを進め、公開可能なレベルに完成させる。(2)種子生産データベースを国際標準の仕様に変換し、類似の世界のデータセットとシェアできるようにしていく。(3)大規模稚樹調査を奥羽山系試験地でも実施し、データを充実させていく。(4)気候変動との関連の予備解析を進め、データの利用例を示せるよう努力する。
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