研究課題
サンゴ礁生態系の保全を推進するためには、気候変動に起因するサンゴの分布域変動の正確な予測が求められる。そのためには、サンゴの挙動と環境変化を包含した精緻な生態モデルの構築が不可欠である。申請者らは、約10年間に亘ってサンゴ幼生加入データを蓄積し、幼生加入量と産卵同調性が密接に関係している可能性を抽出した。本研究では、サンゴの幼生供給量を左右すると考えられる『同時一斉産卵』における個体群レベルの同調性を定量化し、新たなサンゴ産卵-加入モデルを構築することを目的とする。2018年度も、温帯域の長崎から亜熱帯の沖縄に至る複数地点で、ミドリイシ属サンゴの成熟度と加入量を同時に調査した。特に長崎では過去7年間のデータを解析したところ、冬季に水温が13℃を下回る日数が30日以上になると、成熟がほとんど起こらないことが示唆された。一方、八重山地域では、2016年の大規模白化以降、成熟度はあまり変化しないが、加入量が激減する定点が多くみられた。また、熱帯域にあたるパラオでは、ミドリイシ属サンゴの主要な産卵期である3~5月の半年後にあたる9~10月の成熟を調査したところ、ほとんど成熟群体は見られず、熱帯域でも年1回の産卵であることが明らかとなった。分子マーカーを用いた成熟度判定技術については、同じ群体に対して産卵前後のトランスクリプトーム解析を行い、産卵直前のみ増幅される遺伝子をいくつか検出できた。産卵の瞬間感知システムについては、水中メモリ式カメラを用いて野外の複数カ所で同時に産卵を撮影することに成功した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (1件)
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