研究課題
近年、ヒラメのナナホシクドア(Kudoa septempunctata)と同様、不顕性感染型クドア(メジマグロのムツボシクドア(K. hexapunctata)など)が次々に発見され、食中毒との関連が疑われている。本研究では、メジマグロにおけるムツボシクドアの寄生状況を調査し、乳のみマウスを用いた動物実験と細胞を用いたアッセイ系により、人間への毒性とそのメカニズムについて解明する。1.養殖メジマグロにおけるムツボシクドアの寄生調査:今年度、新規に加えた養殖業者において、天然種苗の感染状況を採捕場所や時期別に解析した。その結果、ムツボシクドアの感染は日本海や太平洋側で捕獲された2017年9~11月にはほとんど起こらず、和歌山県内の育成場に移動してから起こると示唆された。また、昨年度と同じ和歌山県の業者で調査を続けた結果、2018年1~3月に調べた20尾中19尾から胞子が検出され、胞子密度は、2尾が10^4個/g、3尾が10^5個/g、13尾が10^6個/g、1尾が10^7個/gであった。2.乳のみマウスを用いた毒性試験:ムツボシクドア摂取による下痢症について、最適投与胞子数とFA値の測定時間を推定した結果、ムツボシクドアはナナホシクドアよりも病原性が低いことが示唆された。また、加熱処理した胞子ではFA値が上昇しなかったため、ムツボシクドアの下痢原性には、非加熱の(生きた)胞子が必要であることがわかった。3.Caco-2細胞を用いた遺伝子発現解析:Caco-2細胞系にムツボシクドア胞子を添加したものをクドア群、無添加を対照群とした。2時間後、それぞれのウエルから抽出したtotal RNAをDNAマイクロアレイに供した。遺伝子発現言動によりクドア群では炎症性サイトカイン産生の上昇や細胞骨格の機能低下、また嘔吐に関連すると考えられるパスウェイ上の遺伝子上昇などがみられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Interenational Journal of Food Microbiology
巻: 259 ページ: 59-67
10.1016/j.ijfoodmicro.2017.08.003. Epub 2017 Aug 9.