研究課題
多くの魚類において、その性は遺伝子により決定されている。しかしそれらの性決定遺伝子は、しばしば種間で保存されておらず、トラフグやメダカなどを除いたほとんどの魚種で性を決定する遺伝子は不明のままである。本研究では、多くの魚類に適用可能な「性決定遺伝子を迅速に同定するストラテジー」の確立を目指す。そのため、まずトラフグの近縁種をモデルとして新規性決定遺伝子を同定する。さらに、その手法を他の魚に適用して、水産応用に直結する新規性決定遺伝子を同定する。同定された新規性決定遺伝子たちは、動物の性決定機構に関する基礎的知見をもたらすと同時に、他の魚類の性決定遺伝子の候補となり、さらなる魚種の性決定遺伝子同定を促すこととなる。①迅速な性決定遺伝子候補の同定と②連鎖不平衡マッピング:昨年度、近縁フグ1種について新規性決定遺伝子有力候補が得られた。今年度は、別の近縁フグを材料として、より簡便に新規性決定遺伝子を同定することを試みた。具体的には、多数の野生個体からゲノムDNA を抽出し、これを雌雄別々にプールしたのち次世代シーケンサーに付した。得られたデータを情報解析にふしたところ、本種においても性決定遺伝子の候補が得られた。③RNA-seq による網羅的発現解析:昨年度得た性決定遺伝子候補の発現変動動態を明らかとするため、RNA-seq解析(雌雄それぞれ3プール。約5Gb データ/1プール)をおこなった。その結果、性決定遺伝子候補は、期待通り、精巣特異的な発現上昇をしめした。以上、本研究で用いたストラテジーを用いれば、多くの魚類で迅速に性決定遺伝子・性決定ゲノム領域を同定できることが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
成果を研究室のホームページにまとめて掲載 http://www.se.a.u-tokyo.ac.jp/japanese.html
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PLOS ONE
巻: 13 ページ: e0190635
10.1371/journal.pone.0190635.
J Immunol
巻: 198 ページ: 4107-4114
10.4049/jimmunol.1601996.