研究課題/領域番号 |
15H04558
|
研究機関 | 農林水産省農林水産政策研究所 |
研究代表者 |
吉井 邦恒 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (00356297)
|
研究分担者 |
大山 達雄 政策研究大学院大学, その他の研究科, 教授 (30134323)
伊藤 房雄 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30221774)
渡辺 靖仁 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40635827)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | セーフティネット政策 / 農業保険 / 収入保険 / 経営安定 / 農業リスク / アンブレラ型 / 農業共済 |
研究実績の概要 |
1 アメリカ2014年農業法に基づくセーフティネット・プログラムと農業保険 アメリカにおいては、2014年農業法に基づき、販売価格が基準価格よりも低下したときに支払いが行われる不足払い型プログラム(PLC)と販売収入が基準収入の一定割合を下回るときに支払いが行われる収入変動対応型プログラム(ARC)が創設された。ARC加入者には軽微な収入減少が生じた場合でも支払いが行われること、PLC加入者は農業保険の上乗せ補てんプログラムであるSCOにも追加加入できることから、新たなプログラムの実施が農業保険への加入に影響を及ぼすことが想定された。しかしながら、2015年の実績をみる限り、農業保険について加入減少や保証水準の切下げ等は確認できず、ARCやPLCの加入者は従来どおりの農業保険に継続加入したものと推測される。 2 アメリカの新たな経営単位収入保険の加入動向 アメリカでは、2014年農業法に基づく新たな経営単位収入保険WFRPが実施され、従来の保険に比べて、対象範囲が全国的に拡大されるとともに、保証水準や保険料補助率が大幅に引き上げられる等の改善が図られたものの、2015年の加入者は特定の地域・品目に限られている。WFRPの加入が低位にとどまっている理由としては、作物別の収入保険制度が普及していること、農業所得税申告書を用いた保険加入・保険金査定のため農業者の関心が低いだけでなく保険会社も積極的に販売を行っていないこと、作物間の収入の増減が相殺され保険金支払い機会が少なくなること等があげられる。一方、WFRPの加入が多い地域では、作物ごとの農業保険とWFRPの重複加入が一般的である。重複加入によって、加入者にとっては収入の相殺の問題が解決されるとともに、保険会社も保険金査定が容易になるものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アメリカにおける現地調査等を行い、日本の経営単位収入保険のベースとなるWFRPの制度設計を行った行政部局だけでなく、実際に保険を販売している保険会社や農業保険・経営安定対策の研究者と意見交換を行うことによって、経営安定対策をアンブレラ型に仕組む上での検討課題が明確化できた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、経営単位の経営安定対策を個別ごとの経営安定対策と組み合わせた場合の政府及び農業者のメリット・デメリットを明確にするため、主要な経営類型別に全国10ヶ所程度で現地調査を行うとともに、制度の重複関係を詳細に分析する。
|