研究課題/領域番号 |
15H04561
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 武祝 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40202329)
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研究分担者 |
戸石 七生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (20622765)
稲葉 継陽 熊本大学, 永青文庫研究センター, 教授 (30332860)
小川 道大 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター南アジア研究グループ, 研究員 (30712567)
安藤 光義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40261747)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農村地域社会 / 郷 / 比較研究 / 通史的分析 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、日本(定型地域・熊本)、朝鮮、インドという4つの対象地域それぞれに関する分析をおこなった。具体的には、第一に、それぞれの地域に関して文献と史料・資料の収集を行った。第二に、4地域それぞれにおける農村社会地域の特性を、相互に比較可能な水準を設定しつつ解析した。 村落-郷(郡)-国家という三者間相互の関係性を、ボトムアップとトップダウンという二つの力学に即して、かつ、中近世から近現代の長期にわたって捉えることに努めた。とくに、これら二つの力学が交わる空間として、郷(郡)の役割と機能に関する分析に注力した。国家権力と農村地域社会とのインターファイスとして位置づけられた郷(郡)の役割と機能は、中近世の時期に形成・定着したのち、近現代における行政制度の改編によって、変化を強いられてゆく。そうした制度的な変化についてもそれぞれの地域を対象に分析を深めた。 本年度は、研究責任者と研究分担者及び研究協力者が、上で述べた課題に沿って個別に研究を進めた。そして、年度の最後に、研究責任者と研究分担者及び研究協力者による共同研究会をお開催した。その場において、それぞれの成果を報告しあった。インドにおいては社会的分業を支える職能集団が郷を単位として再生産されてきたこと、日本においても中世の郷に由来する農村地域社会が、近世以降近現代に至るまで地域単位として機能していること、など重要な研究成果を得た。そのうえで、残された課題について確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
郷(郡)レベルの農村地域社会の特性を、日本(定型地域・熊本)、インド、朝鮮という4地域を対象に比較検討することに関して、研究史上の意義と新規性を確認することができた。それとともに、比較検討するための分析枠組みもほぼ確定したことにより、比較研究という研究手法の妥当性、実現性を確認することができた。 そのうえで、研究会において、それぞれの研究対象地域の特性を報告しあうことで、それぞれの農村地域社会(の重層性)の特性、異同を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究においては、4つの研究対象地域に関して、農村地域社会の重層的な構造を叙述して相互に比較することに力点をおいてきた。中近世から近現代にかけての長期的な分析枠組みを設定したという問題意識に即して、より動態的な視点を導入して、変化の側面に着目して分析を深める必要がある。すなわち、農村社会の構造の比較とともに、社会構造が変化するプロセスの比較という観点を導入していきたい。
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