研究課題
本研究では、植物有用物質生産と果実追熟へのENBの活用を目指し、(1) ENBがイチイ培養細胞のpaclitaxel生産に及ぼす影響の解析と効率的生産、(2) ENBがバナナの追熟に及ぼす影響の解析、について検討を行った。日本イチイと黄金イチイの培養細胞を作成し、ENBを含むWP培地で懸濁培養した結果、コントロールと比べpaclitaxel生産量が増加した。エリシターであるメチルジャスモン酸(MeJA)とENBを含むWP培地で培養した結果、培養7日目の日本イチイ培養細胞の単位細胞あたりのpaclitaxel生産量はコントロールの約7.6倍の2.9 (μg /mg-dry cell) を示し、培養液中への分泌生産が促進された。ENBやMeJAを含む培地の交換を行い培養した結果、paclitaxel生産量が著しく増大した(WP培地の培地交換なし:4.1 [mg/L]、WP+ENB+MeJA培地の交換有り:21.9 [mg/L])。培地交換による複数回のENB、MeJA添加は、さらにpaclitaxelの生産を更に促進することが示唆された。また、イチイの細胞とプロトプラストではプロトプラストの方がENBに対する感受性が高い傾向が示された。以上の、得られた知見を活用したバイオリアクターを構築した。産業界ではエチレンガスを使用して果実追熟をおこなっていることに着目し、ENBがバナナの追熟に及ぼす影響を解析した。未熟状態のバナナ果実(Bobby:低地栽培とSweetio:高地栽培の2種類)を、ENBを含む水溶液に5分間浸漬後、20℃で、成熟進度を解析した。ENBを作用させたバナナではコントロールと比較して、果皮色の変化、クロロフィルの減少、硬度低下、糖度上昇が高速度でみられた。また、ENBとMeJAを作用させることで追熟促進効果がみられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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