研究課題
基盤研究(B)
本研究は,苗生産において量的成長と質的要素との生態的トレードオフを評価し,その制御法を検討した.遠赤色光に対する赤色光の比(以下,R/FR比)が高い光照射下では,バイオマスが葉の厚さ方向に分配された結果として,ストレス抵抗性が向上するものの,葉の拡大が抑制されることで育成期間中の成長速度が低下した.このようなトレードオフを緩和する方法として,光質と湿度環境の複合影響を検討した結果,R/FR比と湿度は茎の伸長や展葉に対して複合的に作用し,その作用の仕方が茎と葉で異なることが示された.これは,物理環境要素の複合影響によって,各部位へのバイオマス分配を好適に制御できる可能性を示唆するものである.
生物環境調節学