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2016 年度 実績報告書

励起蛍光マトリクスによる食肉表面の高感度清浄度評価技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15H04576
研究機関東京大学

研究代表者

大下 誠一  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00115693)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード食肉 / 一般生菌数 / ATP / NADPH / 励起蛍光マトリクス
研究実績の概要

微生物に由来すると考えられるNADPHに着目して、その蛍光情報からATP量および一般生菌数を推定するモデルを構築することを目指した。
豚ロース肉を15℃で3日間貯蔵し、蛍光強度(励起蛍光マトリクス)、ATP量および一般生菌数を測定した。取得した励起蛍光マトリックスでは、トリプトファン及びNADPHのほかに、亜鉛プロトポルフィリンIX、プロトポルフィリンIX、およびフラビンの蛍光ピークが観察された。しかし、ATPの蛍光ピークが現れるとされる励起光(Ex) = 286 nm, 蛍光(Em) = 386 nmの位置は、強い蛍光を持つトリプトファンの蛍光ピークの近傍にあるため、その蛍光にマスクされて観察ができなかった。一方、NADPHの蛍光に着目してPLSRにより一般生菌数を推定したところ、RMSEP = log10 (0.60, CFU cm-2) となり、高い推定精度を得た。また、ATP量の推定についても、一般生菌数と同様に高い推定精度を得た。これらの推定モデルでは、NADPHに加えて、亜鉛プロトポルフィリンIX、プロトポルフィリンIX、およびフラビンに起因する蛍光強度のモデルへの寄与が大きいことが分かった。
以上のように、ATPの蛍光ピークはトリプトファンの強い蛍光にマスクされ、原データとしては検出できなかった。そこで、平面の二次微分処理を励起蛍光マトリックスに対して適用し、二次元Savitzky-Golay二次微分を施した。その結果、Ex = 286 nm, Em = 386 nmの位置に蛍光強度二次微分値が負のピークが観察された。これはATPの吸収ピークの励起蛍光波長と一致し、ATP由来のものと考えられた。この結果により、原データではトリプトファンにマスクされていたATPが検出された可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定の通り、豚肉表面の蛍光情報から一般生菌数やATPを推定するモデルが構築できた。さらに、トリプトファンにマスクされて原データの生情報としては見えないATPを平面の二次微分処理を施すことにより捉えられた可能性がある。これらの結果から、順調に進展していると判断された。

今後の研究の推進方策

平成29年度は3か年の本研究の最終年度である。これまでの研究で、豚肉表面の蛍光情報から一般生菌数やATPを推定するモデルが構築できたが、貯蔵初期における推定精度が十分ではない点が課題として残っている。このため、今後は、これまでに得られた蛍光情報の処理方法を検討して、推定精度の向上を図る予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Mathematical modeling of bacterial penetration into meat2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Shirai, Ashim K. Datta, Seiichi Oshita, Yoshio Makino
    • 学会等名
      The 8th International Symposium on Machinery and Mechatronics for Agricultural and Biosystems
    • 発表場所
      Toki Messe(新潟県,新潟市)
    • 年月日
      2016-05-24 – 2016-05-24
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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