研究実績の概要 |
食肉表面の蛍光分光情報から表面に付着した一般生菌数を非破壊で推定する技術を開発する目的で、豚ロース肉赤身部を試料とし、食肉加工場の解体作業室の上限温度である15℃で保存し、試料表面の蛍光分光情報(励起蛍光マトリクス)を測定した。これと同時に、ふき取り法により表面付着物質を採取して、一般生菌数とATP量を測定した。励起蛍光マトリクスと一般生菌数およびATP量の経時的な変化を解析し、「蛍光強度と一般生菌数」および「蛍光強度とATP量」とが高い相関を示す励起蛍光波長を特定することを目指した。
このため、二次元Savitzky-Golay二次微分を豚肉表面の励起蛍光マトリックスに適用し、ATP由来の蛍光情報の抽出を図ったところ、Ex = 286 nm, Em = 412 nmに蛍光強度二次微分値が負のピークが検出され、ATP由来の蛍光情報の抽出が出来た。さらに、この蛍光強度二次微分値はATP量の増加に伴い減少したので、二次微分値の変化がATP由来の蛍光情報の変化を捉えていることが示された。そこで、二次微分励起蛍光マトリックスよりATP量および一般生菌数を推定するモデルをPLSRにより作成したところ、ATP量に関して相関係数0.87, RMSEP=log10 (0.70, mol cm-2)の精度で推定が可能となった。
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