研究課題
農業・食品産業技術総合研究機構との共同研究としてイチゴを対象とした研究を進めた。C-11標識二酸化炭素を葉に投与するポジトロンイメージング実験により転流能力の評価を行い、葉位によって炭素栄養の転流先が全く異なることを明らかにした。さらに、3次元撮像が可能なOpenPETを用いて、果実内の転流・蓄積過程をイメージングする実験に取り組み、果実表面の種子がシンクとして大きな働きを持つことを示唆する結果が得られた。ソルガムを対象にした研究により、塩素イオンの存在がカドミウムの吸収・移行に及ぼす影響を報告書にまとめ発表した。ポジトロンイメージング実験の結果、塩素イオンはカドミウム吸収の初期に機能して、カドミウム吸収を活性化していることが明らかになった。また、吸収後の植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積も塩素処理によって活性化していた。これらの実験結果は根圏に存在する塩素イオンが生理的にも機能して、植物のカドミウム動態に影響を及ぼしていることを示唆している。根に部位特異的に施用したグルタチオンが植物体地上部へのカドミウムの移行と蓄積を抑制する現象の分子メカニズムを解明するため、アブラナを対象として、根からの物質分泌にグルタチオンが及ぼす影響をポジトロンイメージング技術により評価する実験系の構築に着手した。独自に設計した根箱内で土耕栽培したダイズにC-11標識二酸化炭素を投与し、ポジトロンイメージングにより光合成産物の根系への転流と根圏への分泌を可視化・評価する実験プロトコルを開発した。この技術により、「ある特定の条件下で、植物体が根系のどの部位からより多くの有機物を土壌中に分泌するか」という新しい指標による「根の活性」の解析が可能になり、植物の栄養吸収戦略の解明への貢献が期待できる。本研究成果は論文としてとりまとめ、国際論文誌への投稿・審査を経て、現在再投稿準備中である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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QST Takasaki Annual Report 2016
巻: 1 ページ: 120
http://www.taka.qst.go.jp/rab_div/pnr/index_j.html