研究実績の概要 |
と場より採取した発情中期子宮の組織、あるいはそこから分離採取した子宮上皮細胞および間質細胞単層培養を確保し、実験を行った。当初研究計画で設定した妊娠15および発情15日目の子宮内膜組織を採取したオートファジー、カテプシンの活性を検出したところ、カテプシンBおよびリソソーム活性の明瞭な増加が確認された。特に、組織細胞内でのリソソームの活性化が顕著になり、カテプシンBもリソソームと同じスポット状パターンに活性化シグナルが検出された。加えて、E coliによる組換えウシIFNτの大量確保も済み、中期子宮組織への組換えIFNτの添加によって、妊娠子宮組織で見られたようなカテプシンBおよびリソソームの活性化が見られ、IFNτによる子宮組織の改編にカテプシンBおよびリソソームが関与することが示唆された。 IFNτの受容体であるIFNR1,R2のそれぞれの遺伝子発列に対してsiRNAを設計、合成した。ウシ線維芽細胞を用いて予備的にリボフェクション導入したところ12時間後には8割近く遺伝子発現抑制効果が確認された。培養牛子宮上皮細胞を使って、IFNR1,R2のそれぞれ一方、あるいは両方サブユニット対して導入したところ、12-24時間後に有意な遺伝子発現抑制効果が確認された。IFNR1,R2の発現抑制を行った子宮上皮細胞に対してIFNτを添加し、IFNτによって誘導される遺伝子MX1, MX2, ISG15の発現について解析したところ、興味深いことに、R1を抑制した際にMX1, MX2, ISG15の発現が有意に抑制された。このことから、IFNRを介したIFNτのシグナル伝達にはIFNR1の関与が大きいことが示唆された。
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