研究実績の概要 |
アミノ酸-グルコース-アマドリ化合物の有機合成と血中濃度測定法の確立を目的として、無水メタノール還流系を用いてアミノ酸-グルコース-アマドリ化合物の有機合成を試みた。その結果、アミノ酸-グルコース-アマドリ化合物を大量に有機合成することが可能となった。そこで、上記の化合物を利用し、トリプトファン-アマドリ化合物およびもう一つの糖化トリプトファンである(1R,3S) -1- (D-gluco -1,2,3,4,5 -pentahydroxypentyl) -1,2,3,4-tetrahydro -β- carboline -3-carboxylic acid(PHP-THβC)の血中濃度を測定した。ニワトリにトリプトファンを過剰添加した飼料(1、2または3%過剰)を14または21日間与え、LCMSを用いて2種類の糖化トリプトファンの血中濃度を測定したところ、トリプトファン-アマドリ化合物およびPHP-THβCの血中濃度は、各々約1uMおよび2uMであることを示した。さらに、糖化トリプトファンは血中トリプトファンの約10%程度を占めることを明らかにした。 生体内におけるアミノーアマドリ化合物の分解(代謝)機構を調査するためには、アミノ酸-アマドリ化合物が細胞内に取り込まれるか否か調査する必要がある。そこで、放射性糖化トリプトファンおよび放射性バリン-アマドリ化合物を調製し、ニワトリ胚の筋肉、肝臓、脾臓および腎臓から調製したニワトリ胚由来細胞への取り込みを調査した。その結果、どちらの糖化アミノ酸もニワトリ胚由来細胞へ取り込まれ、筋肉由来の細胞はバリン-アマドリ化合物よりも糖化トリプトファンを多く取り込むことを示すとともに、その取り込みには組織特異性があることを明らかにした。 糖化アミノ酸が小腸からの栄養素吸収に及ぼす影響を調査するために、ニワトリにバリン-アマドリ化合物を経口投与したところ、バリン-アマドリ化合物は消化管から吸収され、血中に移行することを明らかにした。
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