研究課題
食肉タンパク質中に多く存在するロイシンは、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一つであり、その摂取により抗ストレスや抗疲労などの保健的作用が期待できる。ロイシンはグルコースなどの還元糖の存在下で加熱することによりメイラード反応生成物が生じ、新たな保健的機能が出現することも示されている。また、ロイシンはペプチドの形でも、様々な生理機能を発揮する。これらの状況を背景とし、本研究では、食肉タンパク質の分解により生成するロイシンオリゴペプチドや合成ロイシンジペプチドに注目し、食品中における機能解明や積極的な利用方法の開発を目指している。19種類のLeu-XあるいはX-Leu(X:アラニン、アルギニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、プロリン、セリン、スレオニン)を調製し、その保健的機能を検討した。アラニン、アルギニン、リジンを含むロイシンジペプチドで高い抗酸化活性(スーパーオキサイドイオン消去作用など)が見られた。また、これらのロイシンジペプチドから生じるメイラード反応生成物にも、興味深い変化が認められた。アラニン、アルギニン、リジンを構成アミノ酸とするロイシンジペプチドとそれらのメイラード反応生成物をマウスに経口投与し、血中酸化ストレス度の指標として血清ヒドロペルオキシド値の変化を見た。Leu-Lysとそのメイラード反応生成物で強い酸化ストレス低減作用が認められ、ついでAla-Leuとそのメイラード反応生成物に強い効果が見られた。Leu-Lysは、水酸化ラジカルや次亜塩素酸ラジカルによるタンパク質分解を強く抑制することも示された。これらの結果は、ロイシンジペプチドやそのメイラード反応生成物の有用性を示唆するものである。今後、Leu-Lysを中心として、機能解明や利用法開発につながる検討を進めていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
計画に従い、ほぼ予定通りに実施することができた。初年度に遅れがあったin vivoにおける検討においても、着実な成果をあげることができた。
平成29年度は本研究の最終年度にあたるため、製品レベル近い検討に着手し、産業的な展開につながるような成果を得たいと考えている。
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