研究課題/領域番号 |
15H04600
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三角 一浩 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (10291551)
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研究分担者 |
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
須永 隆文 鹿児島大学, 共同獣医学部, 特任助教 (90649112)
藤木 誠 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (60305167)
瀬戸山 健太郎 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00372805)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 幹細胞 / 軟骨 / 骨 / 再生 / 移植 |
研究実績の概要 |
実験1.バイオ3Dプリンターを用いて作製したブタ脂肪組織由来間葉系幹細胞の三次元構造体による骨軟骨再生(非荷重面における骨軟骨欠損部への幹細胞構造体移植実験)
【目的】脂肪組織由来間葉系幹細胞(AT-MSCs)の凝集塊(スフェロイド)を、バイオ3Dプリンターを用いて立体配置することで三次元構造体(プラグ)を作製し、膝関節の非荷重面の骨軟骨欠損孔に自家移植して、関節軟骨及び軟骨下骨の再生を評価する。 【方法】NIBS系ミニブタ(n=3)の頸部皮下から脂肪組織を採取した。酵素処理後に得られたAT-MSCsを培養し、スフェロイドを形成させた。バイオ3Dプリンターを用いて、スフェロイドを1つずつ立体配置させて、円柱状のプラグをスキャフォールドフリーで作製した。両側の大腿骨膝蓋骨間関節を関節切開し、大腿骨滑車溝にプラグと同形の骨軟骨欠損孔(内径5mm×深さ5mm)を作出した。右側の欠損孔にはプラグを移植(移植肢)し、左側は無移植(対照肢)とした。術後0, 3及び6ヵ月にCT検査にて欠損孔を画像評価し、欠損孔の縮小率を算出した。術後6ヵ月で病理解剖を行った。 【結果と考察】術後3及び6ヵ月におけるCT検査では、骨欠損の容積(X線透過容積)が、対照肢に比べて移植肢で低い傾向を示した。術後0ヵ月におけるX線透過容積を100%としたときの、術後3及び6ヵ月の容積値の総体比率は、対照肢で73.3±5.9及び48.9±6.8%、移植肢で55.9±4.6及び36.7±9.6%となり、3ヵ月後において両肢間で有意差(p=0.03)が認められた。病理組織学的検査では移植肢において肉眼的に滑らかな関節表面が確認され、関節軟骨の再生を認めた。バイオ3Dプリンターを用いて作製したAT-MSCsの三次元構造体を、骨軟骨欠損孔に自家移植することで、関節軟骨と軟骨下骨の再生が同時に促進された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
【実験1】バイオ3Dプリンターを用いて作製したブタ脂肪組織由来間葉系幹細胞(AT-MSC)の三次元構造体移植による関節非荷重面(大腿骨滑車溝)の骨軟骨再生の評価。 NIBS系ミニブタ3頭のデータを用いて実験の中間まとめを行い、第15回日本再生医療学会において発表を行った。平成27年2月には、追加試験としてNIBS系ミニブタ2頭の移植手術を終えており、術後3及び6ヵ月におけるCT画像評価を継続し、平成28年8月に病理組織学的検査を行い、実験1を終える予定である。 【実験2】AT-MSCの三次元構造体移植による関節荷重面(大腿骨脛骨間関節の大腿骨内側顆)の骨軟骨再生の評価。 平成27年度内に、クラウン系ミニブタ3頭を用いて移植を済ませ、術後3及び6ヵ月におけるCT/MRI画像診断を実施し、平成28年4月に病理組織学的検査を行う予定である。AT-MSCの移植側において対照側よりも骨軟骨欠損の縮小が観察されている。追加試験のための3頭については、AT-MSCの分離・培養を終え、平成28年4月に移植の予定である。
このように本研究課題は、設定した研究期間の初年度のうちに予定された関節非荷重面、及び関節荷重面へのAT-MSC構造体の自家移植試験を順調に進めている。すでに一部は学会発表に至っており、また自家移植後の評価は平成28年10月までに完了の予定であることから、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、3つの試験が同時に進行する。これまでと同様に、実験のペースを落とすことなく、本研究課題を遂行していく。 【実験1】バイオ3Dプリンターを用いて作製した脂肪組織由来間葉系幹細胞(AT-MSC)の三次元構造体を非荷重面(大腿骨滑車溝)の骨軟骨欠損に移植して、組織再生を評価する。平成27年度に移植手術を終えたNIBS系ミニブタ2頭について、平成28年8月には術後のCT/MRI画像検査、及び病理組織学的検査を完了する。前年度に中間まとめを行った3頭のデータと合わせて、非荷重面の骨軟骨欠損へのAT-MSC移植成績として論文にまとめる。 【実験2】同じくAT-MSCの三次元構造体を荷重面(大腿骨内側顆)の骨軟骨欠損に移植して、組織再生を評価する。平成28年度には、追加実験として、3頭の移植試験を予定している。AT-MSCの分離・培養を終え、平成28年4月に移植の予定となっているので、平成28年度10月にはCT/MRIによる生前の画像診断、及び剖検と病理組織学的な判定を終える。 【試験3】試験1,2は同種自家移植を想定した動物治癒モデルであったのに対して、実験3では白血球抗原型(SLA)の一致した動物個体間での同種他家移植を計画している。H27年度に使用したクラウン系ミニブタはSLAを判定できる実験動物であり、まず我々はこのブタを使用してAT-MSCの細胞凝集塊からバイオ3Dプリンターにより立体構造体を作成できることを示した。実験1,2と同じ方法でブタのAT-MSCを分離培養し、それをSLAの一致する別のミニブタの骨軟骨欠損に移植する。術後の免疫抑制については、過去の報告にあるプロトコールの採用を想定している。
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