研究課題
多能性をもつ脱分化脂肪細胞(DFAT細胞)は、成熟脂肪細胞が自発的に脱分化することによって生成される。脂肪組織の80-90%は成熟脂肪細胞で構成されていることから、内視鏡で採取できる微量の内臓脂肪組織からDFAT細胞を取得可能であると考えられる。本年度では、内視鏡で採取される微量な内臓脂肪組織から細胞移植治療に必要とされる数のDFAT細胞が調整できるかを調べる目的で行った。動物病院に来診し、肝生検が必要と診断されたイヌ5頭のオーナーのインフォームドコンセントを得たのち、内視鏡を用いて肝臓付近にある内臓脂肪組織を採取した。その結果、いずれの個体においても150-200mgの脂肪組織が採取された。採取した脂肪組織を細切したのち、コラゲナーゼ処理および濾過(穴径100μm)した結果、1-5×10^4個の成熟脂肪細胞が採取された。20%FBS添加DMEMを満たしたフラスコに約10^4個/12.5cm^2の成熟脂肪細胞を導入して天井培養を行った。その結果、天井培養14日後では、1-4×10^5個/12.5cm^2のDFAT細胞(初代)が取得された。フラスコに導入した成熟脂肪細胞の10-40倍のDFATが採取されることが示された。その後、DFAT細胞を1×10^4個/mlで1-4枚の培養皿(55cm^2)播種して継代培養すると、培養10-14日後において6-8×10^6個/55cm^2のDFAT細胞が取得された。従って、少なくとも6-24×10^6個のDFAT細胞が1ヶ月程度で調整可能であることが示された。以上の結果から、内視鏡に用いて150-200mgと微量の内臓脂肪組織から細胞移植に十分量のDFAT細胞の調整可能であることが示された。また、内視鏡で採取する脂肪組織を2倍に増やすと取得されるDFAT細胞数は約2.5倍になるが、採取時間や侵襲性に大きな違いはなかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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