研究課題
フタホシコオロギGryllus bimaculatusを用いて、摂食行動を解析しているが、個体レベルでの行動解析には、多くの個体を用いる必要がある。これを可能にするため、自動解析システムを構築していたが、これまでの解析では、処理能力が遅いため、およそ10倍速く画像解析処理ができるようなシステムを構築した。これを用いて、平成29年度は、栄養選好性行動を見ていくこととした。その際、3大栄養素の選好性行動に焦点を当て、フタホシコオロギGryllus bimaculatusの本能行動に迫った。実際には、この選好性行動と代謝系および内分泌系とがどのように関連しているかを探るために、まずは、フタホシコオロギの各組織から抽出したRNAを用いたRNA-sequence解析により、すべてのペプチド性ホルモンを同定した。これと同時にそれぞれに対する受容体も同定することができた。この成果を受けて、各ホルモンの受容体をRNA干渉法にてノックダウン個体を作成し、その選好性行動を検討した。その成果の一部として、例えば、AKH(Adipokinetic hormone脂質動員ホルモン)のシグナリングを抑制した場合は、選好性行動に変化が認められる。また、脂肪体のような末梢組織の代謝系に変化が認められる場合にも、栄養分の選好性が変化することが分かった。一方、脳神経系のホルモンネットワークに関しては、全ペプチドを合成したので、その機能を個体レベルでの行動解析を通じて検討している。最終的に、行動、代謝を結ぶネットワーク構造を明らかにしていくつもりである。これとは別に、これまでの莫大な先行研究からの知見をまとめた、内分泌系のネットワークも構築することもできた。今後は、これらのネットワークを、各ノードに重みを加味したものへと発展させ、その評価系を樹立することとなる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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