研究課題
本研究の目的である「特定の環境要素に蓄積した放射性Cs からのガンマ線量を周辺環境からのBG 線量と識別して精度良く簡易に測定する手法を確立すること、および環境中の放射性Cs の動態解明とモデル化・移行予測を行うこと」に対し、2016年度は2015年度にやや遅れていた計画を立て直し、ほぼ計画通りに個人用積算線量計(D-シャトル)を用いた新規モニタリング手法の確立、およびモニタリング・実験とその結果解析を進めた。特に、新規手法を用いた測定(モニタリング)については、測定地点を増やし、昨年度から引き続き測定を実施した①電中研我孫子事業所構内、②福島県川俣町に加えて、③同浪江町、④同新田川河川敷、などにおいて実施した。その結果、昨年度に明らかにした知見である「スギ樹体放射能の変化が内樹皮における季節変動と同調していること」や、「多量の降雨により土壌の移動が生じ、空間線量率の変化に大きな影響を及ぼすこと」などに関して再現性がとれたほか、スギ内樹皮における放射能の変化がカリウムの変動と同調している可能性を示すことができた。また、これらを補完するため、従来手法(サンプリングとゲルマニウム半導体型スペクトロメータによる測定)を用いたモニタリングも行った。その結果、サクラの越年芽形成から落葉までの葉寿命全体におけるカリウム濃度の変動と放射性Cs濃度の変動の同調性などが明らかとなった。これらの得られた結果は、JER誌などへの学術誌への投稿の他、土壌肥料学会、KEK環境放射能研究会などの国内外での学会において公表した。なお、2015年度に投稿した論文は2016年度に全て受理・公刊された。さらに2016年6月(電中研)と2017年2月(首都大)の2回、進捗報告会を行い、各分担における課題や解析の結果などの討論を通じて共同研究者間での情報の共有を図るとともに相互の理解を深めた。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ順調昨年度やや遅延となっていた新規モニタリング手法の確立について、樹体内での空間分布の線量測定値への影響に関する実験を実施し、測定手法のマニュアル化を進めた。また、その他モニタリングについても昨年度一部の測定において計測器が流されるなどしたことに対する対応策を施し、不備が生じていたデータを補完することが出来た。
引き続き計画通りに実験・観測を進め、再現性を取ると共に、様々な状況に応じたデータを積み重ね、手法の一般化と信頼性の向上を図る。また、積極的な外部への情報発信に努める。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 3件、 査読あり 15件、 謝辞記載あり 12件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 11件、 招待講演 1件)
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