研究課題/領域番号 |
15H04621
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
吉原 利一 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (60371506)
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研究分担者 |
Konoplev Aleksei 福島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00745581)
藤巻 秀 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 本部 経営企画部, 上席研究員(定常) (20354962)
Yoschenko Vasyl 福島大学, 学内共同利用施設等, 特任教授 (40745569)
小林 卓也 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (60371530)
橋田 慎之介 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (60516649)
河地 有木 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員(定常) (70414521)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 放射性Cs / 積算線量計 / 環境放射能 / 樹木 / 土壌 / 簡易計測 |
研究実績の概要 |
2017年度は2016年度に引き続き、個人用積算線量計(D-シャトル)を用いた新規モニタリング手法の確立、およびモニタリング・実験とその結果解析を進めた。 進捗が遅れていた手法の確立に関しては2016年度にほぼ実験を完了し、2017年度は公刊の手続きを進めていたが、残念ながら未だ公刊には至っていない。一方、その他の項目については、手法の確立に関連した論文の投稿に関すること以外はほぼ計画通りに進捗している。 モニタリングについては、一昨年度から増やした測定地点(①電中研我孫子事業所構内、②福島県川俣町に加えて、③同浪江町、④同新田川河川敷、など)において引き続き測定を実施した。その結果、「スギ樹体放射能の変化が内樹皮における季節変動と同調していること」、「多量の降雨により土壌の移動が生じ、空間線量率の変化に大きな影響を及ぼすこと」などに関して昨年度までのデータに追加的な知見を得たほか、構成樹種の異なる森林や林床除染の有無による空間線量率の経年変化など、汚染の長期マクロ的(面的)解析への応用において有用性が示された。また、これらを補完するため、従来手法(サンプリングとゲルマニウム半導体型スペクトロメータによる測定)を用いたモニタリングも継続した。その結果、昨年度に示されたサクラの越年芽形成から落葉までの葉寿命全体におけるカリウム濃度の変動と放射性Cs濃度の変動の同調性については、特定の時期、器官においてのみ見出されることが明らかになったほか、越冬期間中の蓄積部位がカリウムと放射性Csで異なること(カリウムは枝の木部、放射性Csは師部が中心となっていること)などが明らかとなった。 これらの結果は、JER誌などこの分野における著名な学術誌への投稿の他、国際環境放射能学会、土壌肥料学会、KEK環境放射能研究会などの国内外での学会において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
個人用積算線量計(D-シャトル)を用いた新規モニタリング手法の確立において、確立した手法の論文公刊が遅れているため。また、このことにより森林での計測に関する論文投稿も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに実験・観測を進めるとともに、最終年度にあたるため、論文投稿や国際学会での発表等を通じこれまで以上の積極的な外部への情報発信に努める。
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