研究課題/領域番号 |
15H04624
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研究機関 | 公益財団法人都市緑化機構 |
研究代表者 |
手代木 純 公益財団法人都市緑化機構, 都市緑化技術研究所, 主任研究員 (70537026)
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研究分担者 |
持田 灯 東北大学, 工学研究科, 教授 (00183658)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 環境緑化工学 / 緑陰 / 都市環境 / 実測 / 街路樹 / シミュレーション / 枝下高 / 最適樹冠 |
研究実績の概要 |
本研究は、公園や公開空地等に植栽されている都市樹木を対象として、人間の活動域でのストレスを低減させて快適性を向上させるため、最適なサイズ、規模によって形成された樹冠を「アーバン・クール・スポット」と呼び、その実現のための研究を「身近なレベルでの都市樹木」を「温熱環境改善効果」の2つの観点から再評価し、この点から最適となる樹冠形成を、熱環境面に加えて「メンテナンスに関するリスク」も考慮しつつ実際に形作り、その効果の検証と実際の樹冠づくりに当たっての課題を検証するものである。 (1)単木の最適解の検討 「身近なレベルでの都市樹木」の快適性を評価し,クーリングポテンシャルを示すための最適解を検討する。数値化可能な項目においては、数値化を目指して検討する。 (2)適切な樹冠形成手法の検討 1.大きくなりすぎないような樹種の検討。/2.樹形、樹冠を維持するための技術の検討。/3.コンテナ栽培条件下での樹木による樹冠サイズの変化の確認。(実大高木による蒸散量測定の先行研究の供試木を、継続栽培の先行例として活用) (3)シミュレーションによる最適解の検討 温熱環境上、適切と考えられる樹冠についての検討結果をもとにシミュレーションにて、①一本当たりの幅/②高さ(樹高、枝下)/③葉の密度、および風の透かし方の複数のパラメーターについて、複数のパターンにて比較を行い、最適解を導く。そのうえで,検討内容を上記 (1)単木の最適解の検討にフィードバックさせ、検証を深化させる。解析はCFD解析+3次元放射解析を用いる。 (4)管理上の課題の検討 (2)および(3)による検討を踏まえて、実際の樹冠形成上の課題を整理する。 (5)最適な樹冠形成モデルの設定(温熱環境上、生育上) 温熱環境シミュレーションによる検討、および管理リスクの検討結果の両面を踏まえて、適切な、樹木の樹冠の大きさ、高さを設定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
繰越を行い当初計画よりも時間を要しているが,当初に企画した課題についてはおおよそ順調に推移している。 平成29年度においては当初の企画の通り,屋外での実測について実施することとしており,そのための供試木の移植や養生を平成28年度に予定していたが,すでに目標となる樹形に達している測定場所を候補地として選定しており,そこでの測定を前提に検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べてきたように,平成29年度では夏季において、樹冠形成モデルの設置場所である樹冠の内外の複数箇所にて同時に測定し、それぞれの周辺の温熱環境の違いを分析するためのデータを取得することとしている。測定項目は,①温湿度、②風速・乱流統計量分布、③葉面積密度や単位葉面積あたりの蒸散量(ポロメーター)、④暑熱指標(WBGT計)などである。また,これらの効果の検証を行うとともに,緑陰の比較体験を踏まえた緑の評価項目の検討を行う。 なおこれらの効果の検証については,平成29年度中で終えるには時間が限られるため,適切な樹冠形成の維持管理方法の検討や,最適樹冠の形成・配置指針の作成とともに,平成30年度への延長も含めて,検討作業を鋭意進める。 また,その結果を踏まえて早期に論文を投稿すべく努力すると共に,関連する国内及び国際学会等への積極的な投稿,発表を継続していく。
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