本研究は、公園や公開空地等に植栽されている都市樹木を対象として、人間の活動域でのストレスを低減させて快適性を向上させるため、最適なサイズ、規模によって形成された樹冠を「アーバン・クール・スポット」と呼び、その実現のための研究を「身近なレベルでの都市樹木」と「温熱環境改善効果」の観点から再評価し、最適となる樹冠形成を、熱環境面に加えて「メンテナンスに関するリスク」も考慮しつつ検証する。 (1)単木の最適解の検討 「身近なレベルでの都市樹木」の快適性を評価し,クーリングポテンシャルを示すための最適解を検討する。数値化可能な評価基準として、「枝下高さおよび樹高」「樹冠密度,葉面積指数 (LAI)」等を検討する。 (2)適切な樹冠形成手法の検討 1.成長が早すぎず、大きくなりすぎないような樹種の検討。2.決められた姿に樹形、樹冠を維持するための技術の検討。3.コンテナ栽培条件下での樹木による樹冠サイズの変化の確認。 (3)シミュレーションによる最適解の検討 温熱環境上、適切と考えられる樹冠についての検討結果をもとにシミュレーションにて、①一本当たりの幅 /②高さ(樹高、枝下)/③葉の密度、および風の透かし方の複数のパラメーターについて、複数のパターンにて比較を行い、最適解を導く。そのうえで,上記 (1)単木の最適解の検討にフィードバックさせ、検証を深化させる。解析はCFD解析+3次元放射解析を用いる。 (4)管理上の課題の検討 (2)および(3)による検討を踏まえて、実際の樹冠形成上の課題を整理する。特に安全面の確保、管理作業のコスト面、樹木の更新(伐採、植え替え)について、リスクコントロールの視点も含めて検討する。 (5)最適な樹冠形成モデルの設定(温熱環境上、生育上)温熱環境シミュレーションによる検討、および管理リスクの両面を踏まえて、適切な、樹木の樹冠の大きさ、高さを設定する。
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